Due fiori -暁の修道女 AURORALE SERAFINO-

柚妃@うさまらーさんと仲良くなりたい
@weisswinde

第 3 話 卯月

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「クハハハハッ」



まるで壊れたように笑い出すのはこれまた、先程件の修道女と一番マトモに会話をした男。その顔は右手で覆われ、はっきりとは見えない。




「デビト…?」



「ルカちゃんにはバンビーナがいるもんなァ?」



真っ直ぐにルカを捕らえるブランデー色の瞳。この数日の悩みが全て晴れた顔の彼は強い眼差しでルカを見据える。

浮かべる笑みは今までに見たことの無い‘色’を纏っている。歓喜を通り越し、狂愛のように歪んだような笑顔。





「アイツは俺のものだゼ」




女性に対し、独占欲など皆無のような男。それ以上に一人の女性に固執するなど考えならないような男。

彼をよく知らないもの達には意外な発言に聞こえただろう。



しかし、幼馴染みの二人はよく知っている。彼の本心を……。




ルカやパーチェの止める声も耳に入れず、部屋を出た。

だが、パーチェにはわかっていた。こんな日が来たら彼に静止させることなどできないと……13年もの間、恋い焦がれた相手。一縷の望み縋りたいものだ。


だが、あの修道女という可能性は濃厚なのかもしれない。彼女なら、自分達の過去を知っていて当然だし、何よりデビトへ対し、口にしていた‘ずっと私を探してくれて’という言葉は、かなりの期間、自分を探していた相手に対しての労いの言葉にもとれる。何より‘その胸に問え’……即ち、答えはルカの中にあることになる。そう考えると答えは彼女しかなくなるのだ。

何か事情があって自分達に顔を知られないためにあのベールをつけているとしたら……。



それにしても、デビトの嗅覚には恐れ入った。いったい彼はどうやってあの修道女にたどり着いたのだろうか…。





「……やっぱり、デビトが一番一途だよ……」





時が過ぎても、姿が隠されていても気づいちゃうんだから…




…勝てる気しないよ…














笑いが止まらない。

あんなに悩んだ自分が馬鹿らしい。

それ以上に、誇らしくさえ思えた。




何処までいっても自分はあの娘でなければダメなのだ。






(…早く抱きしめてェ…)






躊躇の分、抑えがたい欲に駆られる。体に響く程の鼓動は期待の表れだろうか……





一刻も早く己が腕に掻き抱いて確かめたかった。

13年もの間恋い焦がれ続けた娘が……手の届く場所にいるのだ。





気づけば小さな教会に扉の前。乱れる息を整えると扉に手をかけた。















「PATER NOSTER QUI ES IN COELIS.


SANCTIFICETUR NOMEN TUUM.


ADVENIAT REGNUM TUUM.


FIAT VOLUNTAS TUA SICUT IN COELO ET IN TERRA.


PANEM NOSTRUM COTIDIANUM DA NOBIS HODIE.....」






礼拝堂に響くのは清らかな鈴音のような声。

掲げられた大きな十字架の前。冷たい床に膝を着き、唱える祈りはいつもよりか細い。




「……主よ、私の行いは間違っていたのでしょうか。私は彼等と道を違えました。これからも関わるつもりなどなかったんです……」






例え、長い苦しみが待っていたとしても……。温かかったあの日々は帰ってこない。関われば、夢見てしまう。もう望むことも許されないのに…。





声にならない嘆きは微かに漏れる嗚咽とともに小さく木霊した。














礼拝堂の少し重い扉に手をかける。隙間から微かに漏れる灯り。そっと覗けば順々に並ぶ長椅子の奥に人影を見つける。

ステンドグラスから射し込む月明かりが照らす十字架を手に仰ぐその姿。その背にはまるで白い羽根があるのではないかと思える程神聖で、まるで一枚の絵画を見ているようだった。






息を殺し、姿を消して近づく。






「っ!!」






そして、静かに抱き込んだ。





その甘くて、柔らかくて、温かいぬくもりを。





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