Monster Princess

アルセラください(ゆりあ)
@mituyaki1

Episode2 【鉄壁の魔法の城】

「ディオブレリア…………?

セラン、お前、ディオブレリアに行きたいのか……?」



ディオブレリア、その言葉を今このタイミングで聞き、私はすこぶる驚いた。

今日は驚いてばかりの日だ。


「……ダメ、かしら」


眉尻を下げ、少ししゅんとするセラン。


「ダメなわけないだろう……!」


また、顔が、綻んでしまう。

本当に歳をとったものだな。

驚きと、笑いが、私をこんなにも刺激する日は、人生で今日だけかもしれない。


「本当にディオブレリアに行きたいのか?

ディオブレリアで、間違いないな?」


「え、ええお父様、間違いないわ

どうして?」


「……お前が、「収穫祭に行きたい」と言うのはもともとわかっていた。

それ以外で、舞踏会に行きたいとかどこへ行きたいと言う願いも聞き入れるつもりだった。

……だが秋になるまでの間、城ではなくディオブレリアで暮らしてもらいたいと、私も考えていたのだ」


ちょうど娘の行きたい場所と私の言ってほしい場所が被る。

こんなに嬉しい事は無い。

これで、娘の身の安全はほぼ100%保証されたのだから、嬉しくないわけがないではないか!


「え、そ、そうなの?お父様……一体、何故……」


余りにも易々と願いを聞き入れてもらったことに対して、娘も熟驚いているのだろう。

セランよ、私もお前には驚かされてばかりだよ。


「最近、各国でクーデターや夜襲が頻発している。

どんなに警備の硬い城でも、屈強な護衛を携えている国でも、必ずどこかに隙はある。

……エメロルディアが標的なる日もそう遠くはないかもしれない。


だから最近、各国の姫君や皇子を、ディオブレリアに一時的に預ける国が増えているのだ。


ディオブレリアはその校舎に……いや、あれはまさに校舎というよりは一つの『城』だな……全体に鉄壁な要塞と例えるも過言ではない程に厳重な警備体制を誇る、最大にして最強の魔法技術を施してあるのだよ」


父は、嬉しそうにそう語る。


確かに、最近良くない噂を多数耳にする。

数年前、瑠璃色の瞳の美しい仲の良いふたりの姫が居ることで有名だったとある国も、隣国の夜襲によって一夜で一族諸共国が滅びてしまったと聞いた。それ以来、数年毎に世界各地の小規模国家を標的に夜襲や紛争が少しずつ増えているという。

エメロルディア程大きな国となると一晩で陥落する事はまず有り得ないが、跡取りである私の身を父が按ずるのも納得できる話だ。


「とにかく、決まりだな。

ディオブレリアで、この世界の混沌がある程度落ち着くまでの間勉学に勤しみなさい。


きっと、様々な体験がお前を待っているよ。

そうと決まれば、入学手続きだ。


すぐに済ませてくる。」




そう言ったお父様は、ほんとうにすぐに手続きを済ませてきた。

その日のうちに全ての手続きを済ませ、その日の夜に私の元へその事を報告しにやってきた。

一刻も早く娘を安全な場所に避難させたいという親心が痛いほど伝わってきた。

出発は、3日後に決まった。

それまでに、色々やることがあるが今はとにかく楽しみで仕方が無い。

私の剣術、魔法、その他の技術を更に深めることが出来ることへの喜びで胸がはちきれそうだ。


ディオブレリアはエメロルディアの統治内に所在しているので出国の手続きなど入らないが、私の身を心配した父が数人の護衛を付けると言ってきかない。

ディオブレリアでは、少しでも危険から身を守るために私が王族ということは秘密にして過ごす約束だ。

父によると、私以外にも数人、他の国から一時的に避難してきている皇族や姫が数人もう既に学内にいるらしい。私のように、皆も身分を隠しているので誰かはわからないが。


数年前に亡くなった大好きなお母様の写真にキスをして、話しかける。


「私、新しい世界が楽しみで仕方ないわ、お母様。

どうか、私の事を見守っていてね。」



遠くの星が、キラリと輝いた。


月が今日も私を照らしている。






…………To be continued

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