あの日僕らは、空を翔ぶ夢を見た。

miotsukushi
@aramashigoto

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家に戻ってお風呂に入って、今日の事をゆっくりと思い出す。母子家庭の真田さん、話を聞いた時、御幸君と逆だなと思った。

御幸君はお母さんを小さい時に亡くしている、つまり父子家庭。

働くお母さんの姿をずっと見てきた真田さんは、とにかくフェミニスト。同じ場所で同じ物が見たい、という。

お母さんを恋しいと思っていただろう御幸君は、私に多分「母性」を求めている。「物理的に慰めて」そう言ってた。

同じように私を好きだと言っていても、こう考えると、2人とも私に求めているものが違うのではないだろうか。

私はどの「私」を選んだらいいんだろうか、どちらもやろうと思えばできる。女性という性なのか。

そんなに難しい事のように感じない。野球部のマネージャーはどちらの要素もあるような気がする。

ベッドに沈み込んで、目を閉じて深く息を吐く。するとメッセージの着信を知らせる音がする。見ると真田からだった。

「コレ、有難う。見つからないようにバッグの内側につけたよ。」

写真には一緒に見られたくなくて「おうちで」と言った、フェルトのお守りがバッグの内ポケットについている。

「メッセージも有難う。これが1番、ぐっときた。」

もちろん青道の部員用にはそれぞれ分担して作っている。今年はポジションが様々あるので皆の共通で使用するヘルメットの形だ。

今年は結構、技術力を問われる物だったので、多少焦ったが、頑張って作っている。その過程で真田の物を作った。

ちょっと重いかな、と思ってはいた。

「ちょっと重たかったですかね。渡してから、凄く恥ずかしかったです。」

正直に返事をすると、すぐに返信がある。

「そんな事ない。本当に嬉しかった。優勝は1校しかないわけだから。どうなるかは決まってるけど。」

メッセージを目で追う。

「俺は君に真剣に想われてるって感じる、本当に大切なものだよ。」

言葉の使い方がストレートで本当に、言われたりするこっちの方が変に緊張してしまう。どの青道部員にはないスキルだ。

「そう言って頂けると作ったかいがあります。有難うございます。」

「大切にするね。あ、あとお菓子も超美味しかった。もう全部食っちゃった。」

そして可愛いスタンプだ。真田は本当にタイミングといい、内容といい、女子のストライクゾーンにぐいぐいくる。

「また作りますね」

ついこんな返事をしてしまう。

「マジで?凄い嬉しい。待ってるね。」

で、こんな返事が届くものだから、手の上で踊らされているようなものなかもしれない。あしらいの上手な男だ、真田俊平とは。

一方の御幸一也という男は基本構成要素が「意地悪」で、タイミングが最高に悪い。感情を出さないので探らないといけない。

「・・・面倒臭い・・・。」

口に出してしまえば簡単だった。そうだ、御幸は「面倒な男」なのだ。料理とか家事一般はできる、と言っていた。

でもそれも真田とほぼ同等だろう。ただただ、御幸一也は「かまってちゃん」だ。で、「じゃあ」と思ってかまうと、ふいと無表情。

で、「何なの!じゃあ、いいよ!」となると急に甘えてきたり、弱いところを見せたりする。それに思わず母性が反応してしまう。

それが逆に黙っていると「いい男」なものだから、深く付き合ってる人間(例えば倉持君とか)にだけバレるという理不尽。

「でも、真田さんはその逆で胡散臭いと思われてるのかも・・・。」

確か、御幸が言っていたというのを聞いたことがある。「不愉快なイケメン」渡辺が「御幸がそう言ってたよ」と笑いながら言っていた。

それを聞いた倉持は「ヒャッハ!そりゃ、まんまお前だっつうの!」と言っていた。

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