私は、何も知らない

屋上

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「主君!見てください!」


顔を上げると屋上の扉が見えた。


その扉を開けると風が吹き抜ける。


一歩一歩前に進み、屋上の隅を目指す。


あと数歩、というところで、平野藤四郎がなにかに気づき、私の側を離れた。


「平野!?」


気づいたときには、平野藤四郎はボーガンの矢で腕を負傷していた。


「平野!!」


「…やっと、見つけた……」


息も絶え絶えの言葉に見上げれば、ボーガンの青年が立っている。


「主君、早く…!」


「けど、平野がっ!」


「僕の生存値では、長く主君を守っていることができません」


彼の言葉の意味はすぐにわかった。


短刀の自分では、あいつを倒すことは出来ない。だからといって、長く私を守ることも出来ない。だから、早くーーー


「ーーーわかった」


私は痛い体を引きずって屋上の端にたどり着く。下を見ると、米粒ほどの小ささで、鶴丸国永たちが戦っているのが見えた。


「さすがに、2度目は慣れると思ったんだけどなぁ」


どうやらまだ慣れていないらしく、立ち上がろうとすると足がすくむ。それでも立ち上がる。


一歩でも前に出れば、足場はない。


「ガッ!!」


音で振り返ると、平野藤四郎がコンクリートの上に叩きつけられていた。


ボーガンの青年が息を切らしながらこっちに気づいた。


目が合えば、彼の目に絶望と恐怖の色が宿る。


私はそれを無視して口をゆっくりと開く。


「平野」


「……まっ」


「ありがとう」


言い終わると前に倒れる。


青年がなにか言いかけていたが、気にしているほど私もお人好しではない。


倒れた身体は重力に従い、地面へと落下する。



私は繰り返す


何度でも繰り返す



落ちていく最中、あいつが屋上から手を伸ばしているのが少しだけ見えた気がした。