いつでも、あなたを。

わたりんご*
@hetaria_kotori

アイツとの出会い、

太陽の輝く晴天の日、私はこの国に生まれた。色々な国に喧嘩をふっかけたり、自ら参戦したり、と、とてもやんちゃな国。

何でもこの世には、人の見た目と変わらない国、という者が存在しているらしい。

これは母から聞いた話だが、私の名、エリザベータは私の生まれ育った国、つまり祖国に付けてもらったという。

祖国は、自分大好きだけど国民想い、そして国民に愛されているらしい。祖国には人から好かれる 何か があるのだろう。

いつか会ってみたいものだ。


私がこの国に生まれ落ちて、はや16年が経った。心も体も幼い頃に比べて、もう大分大人に近づいてきている。

私は未だ祖国に会ったことがない。

両親には「様」を付けろ、と口を酸っぱくして注意されているが、やはり何故か「様」を付けるのに違和感を感じる。

私の直感が、祖国を「様」を付けるのに値しない、とでも言っているのだろうか。こんなことを両親に言ったら、とても怒られるだろう。普段は何に関しても寛容な両親だが、祖国のこととなると厳しいのだ。よっぽど祖国を尊敬しているらしい。


今日は亡くなった私の祖母のお墓参りに行くという。祖母は私が幼い頃に亡くなってしまったから、全くと言っていいほど顔も、思い出も、覚えていないのだ。

だから、それほど悲しくなかった。

嘆き悲しむ両親を慰めるのに必死だった。



祖母の墓ある墓地についた。


「…あ、綺麗な教会…」


そこには小さめな教会がちょこんと建っていた。

小さいが、とても立派である。

一面の白い壁に、紺色の屋根、屋根のてっぺんには金色に輝く十字架が掲げられていた。聞くにはこの教会が建って数十年と経つらしいが、手入れが行き届いており、まるで建てたばかりの様だった。


「母さん、ここの教会の手入れは誰がしてるの?」


「祖国様よ」


そう言うと母は嬉しそうに微笑んだ。


「…ねぇ、エリザベータ。中、見てきたら?」


母の言葉に驚いた。


「えっ!?いいの?おばあちゃんのお墓参りは…」


「中見てからでも構わないわよ。それに…きっと今日は会えるから、ね」


誰に会えると言うのだろう。

しかし折角の母の気遣い、素直に聞き入れようと思った。実際私は中が気になってウズウズしていた。


「じゃあ、ちょっと行ってくる!ちょっと待ってて!」


そう言うと私は教会に向かって駆けて行った。



遠目からみた教会もとても素敵だったが、近くで見るとより一層迫力を感じる。固く閉じた扉は、銀色の太く大きなドアノブが付いていた。そのドアノブを掴み、思い切りドアを開けた。ギギギー…っと重い音がする。この神聖な場所を守っているかのように思えた。


「うわぁ…綺麗…」


ドアを開けた先には優美な光景が広がっていた。足元には真紅のカーペット、カーペットの両脇には木で作られたであろう暖かみのあるイス、窓を彩る色とりどりのステンドグラス。そして正面の内陣には、こちらも木で作られたであろう主祭壇があり、その上に銀色の十字架が掲げられていた。


「あれ…屋根の十字架は金色だったのに、中は銀色なんだ…。でも、綺麗…ん…?誰かいる?」


よく見てみると、主祭壇付近に何者かが祈りを捧げていた。

警戒しながら近づくと、とても整った顔立ちをした青年だったことが分かった。

どうやらマリアの服を着て祈っているらしい。その青年はお祈りを終えるとパッと目を開けた。


「___うわぁ!?だっ、誰だお前!!?」


あんなに1人で喋っていた私に気づかなかったらしい。それほどお祈りに集中していたのだろう。よほど大切な人だったのだろうか。


「あ、あの…祖母のお墓参りに来たんですけど、この教会がとても綺麗で、中が気になってしまって。勝手に入ってしまいすみません」


私が謝ると彼は屈託なく笑った。

やはり顔が相当整っていると思う。

その青年は、銀色に輝く短い髪に、透き通った赤色の瞳をしていた。前髪はアシンメトリーでちょっとくせっ毛気味らしい。


「おお!そうか!墓参りか〜、今日って事はエリザベスか?…ん?じゃあお前孫か?」


彼は私がまだ告げていない祖母の名を発した。


「!?!?な、ななんで祖母の名を!?」


「ん?そりゃあお前、アイツの小さい頃から俺様がアイツの面倒時々見てやってたからな」


有り得ない。

祖母は私が幼い頃に亡くなったとはいえ、結構な年齢まで生きていた。詳しくは覚えていないが、80は超えていたはずだ。大体の人は亡くなっている年齢だが、もし生きていたとしてもこの若さはおかしい。


「…あの、冗談とかは良いので。母と知り合いなんですか?それとも父ですか?」


「いや、冗談ではねぇ。ホントのことだぜ」


彼は笑ってから真面目な顔つきになりそう言った。私はその表情と発言に戸惑った。彼は嘘を言ってない。直感で分かる。私の勘は大体当たる。自信を持って言えるほどに。だがそうなると発言が真実という事になる。それだと辻褄が合わないのだ。


「…?…あ、お前は俺様のことまだ知らねーんだな?」


知るも知らないも、初めて会う相手を知っているわけが無い。


「俺様はプロイセン。俺様がエリザベスの事を知ってんのは、俺様が祖国様だからだ!ケセセセ」


彼は妙な笑い声をあげながら、屈託のない笑顔で笑った。


「…は?祖国?こんなに若いの…?」


「俺様たち国は、人間の様な見た目をしてるが歳はとらねぇんだ。歳はとらねぇが、当時の経済状況などによって、風邪引いたり体調崩したりはする。もちろん滅んでいく国があるわけだから、その国が滅ぶと、俺様たちの様な存在も消える」


「…??じゃあ、もしもプロイセン王国が滅んだら、あなた…祖国は消えていなくなってしまうんですか?」


「そうなるな。まあ俺様はどこにも負けねーがな!ケセセセ」


…自信があるのは何より…


「滅んで消えゆく国があるのに対して、新しく生まれる国もあるわけだ。ま〜最初のうちは大変だろうよ」


「えぇっ、生まれる国もあるんですか…。大変というのは…?経済とかですか?」


「んー…まあそれもあるが、生まれたばかりの国は大体が最初は小さいんだ。俺たちのような存在は、国の大きさと比例している。だから生まれたばかりの小さい国は、幼稚園児ほどの大きさのヤツらが多いな」


「国が成長する事にあなた達は大きくなっていく、というわけですか?」


「あぁ、あってるぜ」


全く知らなかった。母は、詳しいことは私に聞くより祖国様に聞いた方がいいわ、と教えてくれなかった。そしてきっと母はさっき、祖国に会えると言っていたのだろう。きっかけを作ってくれた母には感謝しなければ。


「あ、そうだお前。エリザベスの墓参りに来たんだったよな?俺様も一緒していいか?」


「あっ、はい!きっと祖母も喜ぶと思います!」


彼は、そうか!と笑い、扉へ向かって行った。


「おっ、久しぶりだなぁ〜!元気だったか〜?」


待っていた母と父に無邪気に駆け寄る。


「祖国様!お久しぶりです。やはりいらっしゃってたんですね」


「あの子はうちの愛しい娘なんです」


「あぁ!元気だったぞ!さっきあいつと話してたんだ」


「そうですか、ふふ、きっとエリザベータったら驚いていたでしょう。詳しいことは祖国様に聞きなさいと教えていたので、きっと何も知らずにいたと思います」


「そういえば面食らってたぞ!ケセセセ」


「失礼な事を申しあげていたらすみません…」


「全然!知り合いが増えるのは嬉しいぜ」


母たちの会話を聞いて、彼が祖国であることを再確認した。どうやら現実らしい…


「これから宜しくな!エリザベータ」


「はぁ」



彼とあんな事になるなんて、思いもしなかった。




〜……To be continued〜

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ギルベルトの消失ネタ。