水月佳人 -緋色恋枷-

柚妃@うさまらーさんと仲良くなりたい
@weisswinde

第二話 非刻始まりの色

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「わりぃな。いつもはあんなんじゃないんだ……今はちょっと虫の居所が悪ぃみたいで。

最後に声をかけたのが藍将軍じゃなくて李侍郎だったら素直に聞いたと思うんだけどな…」


どうやら彼女は根っからの好色家嫌いらしい。故に楸瑛などもってのほかだと云うことだ。



「燕青……緋牡丹と一緒に来たのか?」


「霓姫。アイツ、今は霓姫って名乗ってる。まあ、アイツ曰く‘本名’だってさ。

二日前位までは一緒だったんだが、先に行くって置き手紙残して失踪された」


「……いつから声が…」


「お前がいなくなったすぐ後…らしいぜ」



曖昧な返事に詳細を求めるように視線を向けると眉を顰める燕青の視線にぶつかった。



「どういう意味だ?」


「アイツ、声が出るようになったことお前に一番に言いたかったみたいだ…。俺が初めてアイツの声を聞いたのお前が居なくなって三月以上後だからさ。」



苦虫を咬み潰したように眉間に寄る皺は後悔の表れ。別れる前にちゃんと彼女に言葉をかけていれば…あんな曖昧な別れ方をしなければ、彼女があんな風になることもなかったはずだ。そんな後悔と昔の彼女の笑顔が静蘭の心を締め付ける鎖のように絡みついて離れなかった。



静蘭は一人自室の臥牀に腰掛けた。十三年も経っているというのにまるで昨日の事のように思い出される彼女との‘記憶’

あの血腥い過去にある微かな光をたどるようにゆっくりと目を閉じる。

自分に向けられた無垢な笑顔は一瞬にして先程の冷たい表情に代わり、遠のいていった。

手を伸ばせども、あの凍てついた黒曜石の瞳の前では力無くただ空を切るだけ…。


‘あの頃の彼女はもう居ない’と現実へと突き落し、彼女の幻影は掠れて消えていった。





「燕青君、彼女は一体……」


「あ~えっと今は俺の知り合いの養い子なんですけど、昔から一緒にいたんで静蘭とも知り合いなんすよ。霓姫は俺より静蘭に懐いていたから離れて悲観的な感情を持っちまったみたいで…本当は優しいし、気は利くし、可愛いところもあるんすよ」



頭を掻きながら彼女について語る燕青の様子からも今日が特別だということが窺える。燕青が想像していた以上に彼女は静蘭を憎んでいたのだ。


それはきっと













‘愛情の裏返し’


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