嘆きのoltremare -蒼蓮華伝-

柚妃@うさまらーさんと仲良くなりたい
@weisswinde

乱戦

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急に話題を振られ、瞠目しながらも姉に視線を向ける。人を惹きつけてやまないピーコックの瞳はそこにある。



「…蓮…」



「何も言わずともこの子が一番わかっているわ……私たち双子なのよ」



そう。偽れるはずがない。この二人は互いに言葉を交わさずに意思疎通をしてみたりと人並みはずれていた。だからこそ、彼女を疑わなかったのかもしれない。




「私は沢田蓮華よ……生まれながらに穢らわしい血を継いだ娘。そして、誰よりもマフィアを憎む‘蒼蓮’よ」


「…そう…れん…?」



綱吉を解放した蓮華は俯きながら右足に入れられたタトゥーに触れる。それは、蓮華の覚悟の証。



「‘蒼蓮’ってのは、ここ数年で台頭してきた凄腕のヒットマンだぞ。マフィア専門のな」


「リボーン!!」


「……ホンブルクの悪魔…」



いっきに、蓮華の目つきが変わる。憎しみに満ち満ちた目の蓮華は気迫だけでリボーンを射殺さんばかりの殺気を身に纏っていた。



「風の所にいたときより美人になったな蓮華」


「気安く呼ぶな、呪われた赤ん坊」


「その呼び名は、風の事も指すぞ」




先程までの静かな憎しみの瞳とは打って変わり、荒々しく燃え盛る焔の様な怒り。綱吉から離れると黄色いおしゃぶりを持つ赤ん坊に銃口を向ける。



「白いピースメーカーか。随分レトロな銃だな。そいつで早打ちの俺とやり合う気か?」


「確かにSSA(シングルアクションアーミー)は、玉の装填にも時間がかかるし、連射もできない……」



互いに銃を構えれば、オートマチックピストルのリボーンとかなり旧式のリボルバーの蓮華。銃の知識が少しでもある者ならどちらが優勢かは一目瞭然だ。



「それでも‘この子’にこだわってるのよ」



響く2つの銃声。いち早く射抜かれたのはリボーン









ではなく、彼の頭に居た小さな緑色のカメレオン。コンマ数秒遅れて放たれたリボーンの弾丸は蓮華の影すら捕らえることはできない。



「やっぱり、オートマチックピストルは美しくないわ。」



すぐ、ジャムるし。と付け加えると、リボーンが銃口を再び蓮華に向けてもその様子は変わらない。ただ彼を嘲る。

彼が自分に攻撃できないことを知っているから。




「これで特殊弾はもう作り出せないわね」


「てめぇーっ!!」



蓮華目掛けてダイナマイトを投げる獄寺の背後に影。


否、向けられた銃口からは銃声が響く。




「悪童風情が本気で私に勝てると思ってたの?」



「ごく…でら?」

「獄寺くんっ!!」


「さぁ、次に地に沈むのはだぁれ?」




蓮華の前に立ちはだかったのはバットを持った少年。その表情は苦痛に歪む。彼もまた蓮華という花に惑わされた哀れな蝶。目の前で友人が撃たれ、もう1人の友人を守ろうと立ちはだかってみたものの、敵と定められたのは自分が只ならぬ想いを寄せる少女。心の葛藤に揺れる胸は張り裂けんばかりに動揺しているのであろう。




「…タケシも邪魔するの?」


「なんで、獄寺を撃った」


「なんで?敵だから。それに先に攻撃したのはハヤトの方よ。」



全く悪びれる様子すら無い蓮華を目にした山本はやるせなさに突き動かされバットを振り上げるが、三度銃声が響いた。


「山本っ!!」




崩れ落ちる山本の体。

泣き崩れる弟を見据える蓮華の瞳はとても冷たい。静かに弟に近付くと悲しみと怒りと困惑に揺れる瞳が真っ直ぐに蓮華を映していた。




「……蓮…」



何を口にしてよいかわからず、ただ姉の名を呼ぶ。

いつも優しく、美人で頭の良い姉。そばに居られることは少なくとも姉のことはわかっていると思っていた。





「まるで仇を見るような目ね」



優しい弟をワザと挑発するようなセリフを吐く。そんな目はしていない。そんな風な態度をとって、弟がどう反応するかを確かめたいだけなのかもしれない。




「……蓮…」


「……はぁ…」




漏れる溜息は困惑故に。怒りに任せて自分に攻撃してきたら、彼をマフィアのボスとして始末できるのに……。



「……安心しなさい。これは牽制……空砲で死ぬ奴はいないわ」




弟から視線を反らすと小さく漏らす。

自嘲さえ零れた。弟に負けない位の甘ちゃんだ。


いつのまにやらツナの側に立つ小さな体。鋭い視線は真っ直ぐ蓮華に向けられている。



「ただの空砲じゃねぇな」



「ええ。私が空砲に口吻するだけで出来る特殊弾。‘吐息弾’っていうのよ。被弾すると気絶するわ。」




再び弟に視線を戻すとその瞳には安堵すら感じる。

自分の置かれている状況は全く変わっていないというのに……。





「…………ツナ…」




そう…変わっていない。変わっていないのだ。昔の優しい弟のまま…


俯いたまま近付く蓮華に全く警戒心を見せない。ただ心配そうに姉の様子を見ている。



「……なんでよ…」



陶磁製の人形の様に白く美しい指が静かにツナの首にかかる。ひんやりした指の感触だが、全く恐怖は感じなかった。



「…蓮…」



俯く蓮華。地面に向かって静かに雫が落ちる。自分の首に掛かる手も震えている。




「……どうして、ツナがマフィアなんかにっ!!」




顔を上げた蓮華は酷く悲しそうな瞳で涙を流す。その姿さえ美しく一枚の絵のようだ。




「蓮、オレは……」


「何してんだ、アホツナ!!」



響くリボーンの声。しかし、今の綱吉にはその声すら届かない。



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