嘆きのoltremare -蒼蓮華伝-

柚妃@うさまらーさんと仲良くなりたい
@weisswinde

帳と蒼い蓮

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「い、委員長補佐」



「あら、どうしたの?」



「い、委員長が手当たり次第に咬み殺してます」



「…………いつもじゃん…今日も平和な並盛ね」



「風紀委員をです」




どうやら暴れ出した彼を唯一止められる救いに縋りにきたのだ。

呆れ眼で立ち上がった蓮華は自分のポケットを触って息を飲む。パンパンと自分の体を軽く叩いて何かを捜すがそれは見つからない。



「……ご立腹の原因、私だわ……」




片目を閉じ、頭をかきながらそう告げるとそのまま背の紐を解きエプロンを外す。



「ごめんなさい。教室に行って私の荷物を後で応接室に届けて。携帯鳴ってると思うけど気にせず持ってきて。」



「わかりました。委員長をお願いします。」



「みんな、ゴメン。片付けできないみたい……今度何かで埋め合わせするわ。」



「気にしなくていいから、早く行きなよ。蓮しか止められないでしょ、きっと」



ツナの言葉に頷き荷物を抱え、頭を下げると足を引きずりながら調理室を出て行った。

面倒見がいい蓮華の後ろ姿を見つめながら苦笑するツナ。きっと、彼の相手をまともにできるのは蓮華くらいしかいないだろう。



「蓮も大変ね」



「けっ、ヒバリなんかの手下になるからだろ」



「委員長補佐は風紀ですが、我々を使役する権利をお持ちです。」



「それって、つまり…」



「あの方は委員長とほぼ同格……少なくとも副委員長より上です。」



一気に体感温度が下がる。いつの間にやら姉は並盛を支配する不良の上に君臨する主と同格の地位を得ていた。しかも、全くそんな素振りを全く見せずに。自分達は先日まで彼女が委員長補佐だということすら知らなかった。



「しかし、権利をお持ちでも、委員長補佐は自分で仕事をこなされていますし、委員長の八つ当たりに対しても我々を庇ってくださいます。」



あのヒバリにと呟く獄寺をはじめ大半の者達は目を丸くする。彼女の利に反すれば例え雲雀が相手でも刃向かうということだ。怖いもの知らずというよりも、もう完全に雲雀の扱いに慣れているらしい。



ツナに一礼して出て行く風紀委員を見送ると花の視線がツナに刺さる。視線から逃れようと山本に助けを求めるが、彼の視線もまた何かを訴えたげだ。



「なぁ、ツナ、さっき蓮と何話したんだ?」



「え、あ、えっと……初恋の相手のことかな。オレ、その相手のこと少しだけ知ってたから。」



「なっ、どんな奴なんだ?」



「ゴメン、それはオレからは言えないよ」




軽々しく口にはできない。蓮華の初恋の相手が雲雀に似ているなんて簡単に口にしてはいけないのだ。彼女が初恋の相手に対して何らかの気持ちが残っているなら尚更である。



「……蓮ってやっぱりヒバリのこと好きなのかしら?」



「好き…だと思うよ。恋愛対象かはわからないけど……」



‘好き’という単語を使うべきか否かはわからないが、少なくとも友人としては好いているのは間違いないだろうし、何より彼に向ける視線は優しい。このまま、見守っていれば蓮華と雲雀が付き合い出すのはそう遠い話には思えなかった。



それを快く思わないものはただ俯き、策を編む。蓮華の影響力は尋常ではない。その甘い香りの毒で相手の心を確実に蝕んでいく。




自分だけを求め、愛すようにと蓮華に求める欲に駆られるのだ……。








「だから、ゴメンてばー」



「ヤダ」



「うっかり、携帯をカバンに入れっぱなしにしちゃっただけで、キョーヤのメール無視したわけじゃないよ」



「………」



「どうしたら赦してくれる?」




蓮華が応接室まで来ると雲雀のあり得ない八つ当たりは止んだ。しかし、明らかに不機嫌オーラ全開では流石の蓮華でも恐怖を感じる。


突き刺さる視線に視線を絡める彼は立ち上がるとゆっくり蓮華に近付き、彼女の隣に乱暴に座る。そのまま体を倒すと彼女の膝に頭を乗せた。


ビックリした蓮華は眼孔を見開いていたが、ゆっくり目を細め、自分の膝に乗った雲雀の頭を優しく撫でる。黒絹のように柔らかな肌触りの髪はまるで猫そのものだった。



蓮華に触れられ、甘い香りを感じた瞬間に胸に広がっていた黒いモノが治まる。最近、この香りが欲しくて欲しくて仕方ない。蓮華が近くにいないとイライラが募っていく。全く、自分としたことが完璧に彼女という存在に魅入られてしまったらしい。




自嘲を込めた笑みを隠すように目を閉じた。











「………もう、酔っちゃったみたいだね…恭弥…」



「……ん?」



「…おやすみ、ガット・ネロ」





ふと見上げ目に入った彼女の顔はまるで別人のようだった。





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