嘆きのoltremare -蒼蓮華伝-

柚妃@うさまらーさんと仲良くなりたい
@weisswinde

覚醒する心

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「蓮ちゃん、バスケ上手なんだね~」



「確かに~あの中で一番カッコよかったよ」



「花~それは言い過ぎ。そう見えたのははじめ、アーリーって戦法で戦ってたから私と獄寺君がボール持つことが多かったからだよ」



食事の時間になり、京子と花と談話しながらおかずを口に運ぶ。相変わらず、綺麗におかずが詰められた弁当箱は華やかで実に美味しそうだ。



「そういえば、体育で沢田がいるチームが勝ってるのはじめて見たかも」



「ツナ君も頑張ってたね~シュートもスゴかったし」



「ツナはやればできるのにやる前から諦めちゃってることが多いからね。あの時のツナ、カッコ良かったでしょ?」



「うん♪」




どうやら、こちらの話はツナ達にも聞こえてるらしく、視線を向ければ紅くなったツナが目に入る。

‘頑張って良かったでしょ?’

心の中で呟けば、ハッとした顔の後、コクンっと頷いた。

にっこりと微笑み返すと山本と獄寺が視線を逸らす。首を傾げるが、特に深く興味を持ったわけではなかったので再び視線を弁当箱へと戻した。


赤、緑、黄、茶、黒、そして、白。様々な色を盛り込んだ弁当から黄色を箸で取り、口へと運ぶ。




しかし、行動に反して箸は自分の口元には届かなかった。視線を自分の右腕に向けると自分の手首は誰かの手によって頭の高さまで持ち上げられている。



「……甘い。」



「文句言うなら食べないでよ!!っていうか、それ私の玉子焼き!!」



勝手に人が食べようとしている玉子焼きを食べ、‘甘い’などと苦情を言うのはこの男しかいない。

突如また現れたこの男は群れが嫌いなはずなのに何故わざわざこんなところに来るのだろうか。



「あ、学ラン!!ご飯食べたら届けようと思って。遅くなってごめん」



「立たなくていいよ」



学ランを取りに来たのだと思い、彼の肩に掛けるため椅子から腰をあげようとした瞬間に肩に触れながら言い聞かされる。その一瞬に、彼が別の要件で来たことを悟った。



「……………私が勝手に怪我したの。」



「まだ隠蔽する気?」



「それも含めて全て私の責任よ」



「覚悟はできてるみたいだね……相変わらず怖いもの知らずだね。嫌いじゃないよ、君のそういうところ。

手配はしておいたから、食事終わったら応接室においで」



「…うん」



「事情ちゃんと言わなかったら関係者全員咬み殺すから」



「うん」



端から聞けばただの脅し、だが、どこかいつもと違う雲雀の様子に一同は動揺を隠せない。穏やかなトーンで話す彼はまるで別人だ。



「今日だけは群れるの許してあげるから1人で動かないでね」



「……キョーヤ」



「じゃあ、僕は戻るよ。また後でね」



「……うん。」



要件を済ませるとさっさと出て行く彼はやっぱりいつもと違う。間近でその様子を見ていた京子と花は唖然とし、‘ヒバリってあんな顔するのね’と花が漏らした。

どこか優しくて心配を孕んだ視線は今までの彼を見てきた人にとって、想像もつかないだろう。



「………やっぱり、校内で風紀委員長を欺くのは無理か。結構上手く立ち回ったつもりだったんだけどなぁ」



「蓮、大丈夫なの?」



「何が?」



「何が?じゃないよ‼雲雀さん怒ってただろ」



「ツナが思ってるほど怒ってないよ…苛立ってるだろうけど。まあ、一週間位応接室に拘束される程度で済むだろうから大丈夫。」



漏れる溜息も足の痛みさえ彼にはきっと気付かれてしまう。不器用な優しさは異様に胸に響くが心配事が頭をよぎる。



「……男バスの部室、平気かな……」



彼女の心配は的中し、その頃男バスの部室は黒の集団に制圧され、2ヶ月の強制停部、部費は全額カットされてしまったことを彼女が知るのはもっと後のこと。



「蓮」



「なぁに、ツナ」



「誰に付き添ってもらうの?」



「どうしよう……付いてきてくれる人いるかな…」




彼は咬み殺さないとは言ったが、相手はあの気紛れ猫化の獰猛な彼。流石に京子ちゃんや花について来てもらうことは出来ない。かといって付いてきてくれそうなのは……。




「ツナー。蓮はオレが送ってやるよ」



「山本~」



「何言ってやがる。10代目!!その大役自分にお任せください!!」



斜め後ろから聞こえてきたのはいつもの2人。蓮華の表情は一気にひきつる。山本の優しさはこの際いつものことだが、さっきから何故獄寺まで絡んでくるのだろうか。

まあ、確かにこの2人なら雲雀に多少攻撃されても怪我するような柔さは持ち合わせていないだろう。しかし、何故それほどまで関わろうとするのだろう。



「ん、私、ツナに送ってもらう」



「コラ、蓮っ!!抱きつくなよ」



「イイじゃん。減るもんじゃないし」



「良くないからっ」



「ツーくん昔、私のことお嫁さんにするんだーって言ってたじゃん」



「そ、そんな昔の話持ち出すなよ!!」



一体、このクラスの男子の何人が蓮華に抱きつかれたツナを羨ましく思っただろう。甘えるような視線を絡める蓮華に流石のツナも赤面を隠せない。


しかし、蓮華にももう余裕がない。ここは弟を使うしかないからだ。件の2人のどちらかに連れて行かれる位ならツナと動いた方が安全だ。そう思ったのは他でもない、ツナならばある程度の事は弟だということで譲歩されるだろう。しかし、先程の件もある山本や獄寺と雲雀の元なんかに行ったらまたトンファーを構えかねない。



「わかったよ。ほら、行こう」



まだどこか紅い頬のツナは蓮華の鞄を持つと彼女に手を出す。何だかんだと言っても相手は大切な姉―結局彼が折れる形となった。

2人で並び、ゆっくりなペースで廊下を歩いている。その後ろを付いてくる顔のいい2人―紛れもなく群れだ。山本や獄寺の強さを持って‘草食動物’と呼べるかはさておき、間違いなくコレは彼が嫌う‘群れ’だ。



彼は本当に今日だけを守ってくれるだろうか……。




―コンコン―



「誰?」



「私」



すぐに返される抑揚のない声。扉が開き、そこから現れた彼は蓮華の後ろを見て少し眉を顰めた。振り返れば、相変わらずニコニコと笑う山本と顔をひきつらせるツナ、獄寺に至っては眼を飛ばしている。







「…群れすぎ」



「ごっ、ゴメン。他に頼れなくてツナに頼んだの」



「あ~オレ等が勝手に付いてきたんだ、気にすんなって」



呑気な山本の口調に明らかな苛立ちを見せる雲雀の右手に腕を絡める。ツナに向けたソレと同じぐらいの破壊力を持つ視線に雲雀は視線を逸らした。



「蓮、おいで」


スッと彼に手を引かれ階段へと向かう。他の連中に興味を無くなったらしく、既に認識すらされていないだろう。




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