嘆きのoltremare -蒼蓮華伝-

柚妃@うさまらーさんと仲良くなりたい
@weisswinde

ハンバーグと籠球

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また相手のスローイン、今度はボールを持ち先に進んでいた者にプレッシャーをかけ、パスを促す。計画通り、パスを出すと主審が笛を鳴らした。



「え、何?」



「バックパスだよ」



「バックパス?」



「あとで説明するよ。ツナ、スローインして。」




ツナのボールを受けるとさっきと同じゾーンプレス。今度は獄寺だけでなく山本に2人もついている。

自分の前は殆どがら空きだが、スリーポイントラインは越させてくれそうにない。



「………舐めんなよっ!!」



そのままワンハンドのシュートフォームに入れば、獄寺についていたディフェンスが蓮華の腕に触れるが、躊躇なくシュートは放たれる。ツーハンドすら入らなかっただろうという目はリバウンドを狙い蓮華を嘲笑う。


しかし、予想に反してズポッという音が響く。今日、一体何回聞いただろうか。唖然とする相手チームを嘲笑する瞳はとても綺麗で怖かった。


与えられたフリースローは1回。フリースローラインに立った蓮華は一度、山本と獄寺に視線を送るとボールを持ちながら静かに言った。



「あ、そうそう。私達のチームに負けたら………部費半分カットね♡(まあ、君達が生きてたらだけど」



いきなり吹き荒れる体感ブリザード。さも楽しそうに口にした蓮華。抗議の声が上がったと同時にボールは彼女の両手から離れる。動き出した時計。時間はあと1分を切った。

リバウンドは真っ直ぐ蓮華の元へと飛んでくる。そのままワンハンドでボールを放つとボードに当たり、ゴールに落ちた。



「オールコート・マンツーマン」



ぴったりと相手に張り付けば、勝手にパスのキャッチミスをする。さっきの部費の件はかなり動揺を誘ってるらしい。

またツナにスローインを頼み、蓮華がそれを受ける。今度は山本と蓮華の元にわらわらと集まって既にゾーンもチームワークも目茶苦茶だ。

獄寺に視線を向ければ、彼は小さく頷く。ショルダーパスを彼に回し、蓮華は自分の側にいた2人をスクリーンで抑える。彼はそのままスリーポイントエリアから綺麗なアーチ型のシュートを打つ。丁度放たれた瞬間に試合終了のブザーがなった。輪を潜ったボールは床にタンタンと音を立てて落ちると女子の中では失神した子さえ出た。



「わぉ、ブザービーター。ハヤト、格好いいね」



「……おう。ナイスアシスト。」



茶化すつもりが赤面されて、対応に困る。試合終了の礼を取ると京子達が駆け寄ってきて賛賞してくる。嬉しそうに笑うツナの傍らで何処か自分のことのように微笑む蓮華。



「か、勝ったんだね」



「そうですよ、10代目!!ボンゴレの勝利です!!」



「………ボンゴレ…」



ツナは実感が湧かないらしく、再認識するように呟くとそれに獄寺が大声で答えた。反芻するように小さく呟いたのは先程までの女帝キャラが全く消え失せた蓮華。俯いたままの蓮華にツナは慌てて弁解しようと支離滅裂な言葉をかけた。


「……私、アサリのパスタか…嫌いなんだ………ペペロンチーノが好き」



「ちげーよ!!そのボンゴレじゃねぇ」



折角誤魔化せたのにと溜息をついたツナは先程の言葉を思い返す。やけに‘嫌い’が強調されていた気がしてならない。

スッと視線を彼女に向ける。右腿に爪を立て先程とは比べものにならない程鋭く、そして、冷たい目で獄寺を見ていたのは自分の見間違いだと勝手に脳内解決した。



再び俯いた彼女はいきなり誰かに抱き上げられる。



「へぇっ!?何々、何事!?」



「ちょっと大人しくしろって」



聞こえてきたのはいつもよりちょっと低いがやっぱり爽やかな声。顔を声の方へ動かせばやっぱり爽やかな顔がそこにある。



「山本君、どうしたの?っていうか、降ろして」



「まあ、待てって」



そういって降ろされ、腰掛けたのは体育館の端に置かれた丸められたマットの上。目の前には真面目な顔をした山本とそれを追ってきた獄寺だ。




「なっ、何?」




問うが何も返答がない。顔のイイこの2人にこんなに近付かれたら普通の女子ならメロメロにされるだろうが、蓮華にとってこの2人は眼中外。むしろ、普段ニコニコ笑ってる山本が有り得ないくらい険しい顔してることが気になってそれどころじゃない。



2人の様子を観察していると山本が蓮華の右足首に手をかける。ヤバいと思った瞬間にはもう遅く、彼が右足首を少し捻るだけで激痛が走り、蓮華は目をキツく閉じ、小さく悲鳴を上げた。



「怪我したの、あの転倒したときだよな」



「……やっぱり、バレた?」



「床蹴って痛み誤魔化してりゃ、バレバレに決まってんだろっ!!」



「そんなに怒鳴らないでよ。獄寺君に止めて貰ったのはありがたいと思ってるけど、あの場で抜けるわけにはいかなかった。山本君や獄寺君が私と同じ立場なら意地でも抜けないでしょ?」



「でも、負担は減らせただろ?」



「てめぇ、自分が女だってわかってんのかっ」



怒鳴られるのもわかるが、蓮華にもちゃんと言い分がある。言い返そうと口を開けた瞬間に彼女の表情はいきなり険しくなり、片手で頭を抱える。



「どうしたんだよ」



「ちょっと黙って、あなた達への返答よりもっと面倒でやっかいな問題を先に片づけなくちゃならなくなったわ」



「やっかいな問題」



「…全く恐ろしい嗅覚だわ。」



その目はガラス張りの扉の向こうの漆黒を静かに見据える。彼女の顔には緊張の色が見えた。



「……何群れてるの」




入ってきた彼の視線は先程まで戦っていた相手チームに向けられている。体育の時間に勝手に入ってきて何を言っているのやら。半ば呆れながらも彼がトンファーを構える前に駆け寄る。まるで違和感のない走りは彼女が怪我人であることを否定しているようだ。顔をしかめるのは彼女ではなく、山本と獄寺。




「どうしたの、キョーヤ」



「君、なんで男子とバスケなんてしてるの」



「たまには運動しなきゃ、ストレスも溜まるわ。キョーヤもやる?バスケ」



「僕がかい?有り得ないね。

ストレスが溜まるなら、僕と群れでも咬み殺すかい?」



「じょーだんやめてよ…私は風紀のお飾り。そんな血生臭いのはごめんよ」



クスクスと笑いながら冗談を口にするが、少なくとも雲雀を相手にそんなことができるのは彼女だけであろう。



「…で?結局何しに来たの?授業なんだからコレは群れじゃないわよ」



「山本武と獄寺隼人は何処?」



「山本君と獄寺君?そこにいるけど…って、なんでトンファー構えるのよ」



2人を見つけるなりトンファーを構える雲雀と2人の間に入り、トンファーを手で触れる。全く獰猛この上ない。



「君が名前で呼んでいいのは僕と君の弟だけだよ」



「…そんなことのためにわざわざ来たの?呼び方なんてどうでもいいでしょ。ちょっと気が立ってて呼んじゃっただけなんだから。

だいたい規約にも書いてなかったし」



「さっき決めた」



「全く何処までワガママなのよ!!っていうか、何処でそれ聞き付けてきたのよ」




目の前で繰り広げられる言葉の攻防戦。相手が相手だけにツナは後ろで震えてるのがわかった。彼は相変わらず我が物顔で此処にいるが、ツナだけでなく何人かは怯えているのが見える早々に何とかしようと思っていた矢先、声がかかる。



「委員長、こちらにいらっしゃいましたか。」



「何。僕は取り込み中なんだけど」



「何にも取り込んでないでしょ。委員を困らせないの」



「い、いえ。委員長補佐、自分は大丈夫であります」



「そーお?」



「で、何?」



明らかに気が立っている雲雀の手に彼女の手が重なると少しだけ彼の纏う不機嫌オーラが収まる。だが、部下の報告を耳にすると口角を吊り上げまたあの艶のある笑みを浮かべた。


あーあ、こんな時に見つかってしまった不良さん方に憐れみすら感じた。だって、嬉々として持ってるトンファーから棘出てるもん。先に救急車呼んどこうかな……などと考えていると、いきなり肩に重みを感じる。肩を見ればそこには黒。



「それ、後で返しに来てね」



「ちょっと、キョーヤ?」



「その下着の色違反だから」



あ、つまり、体操着から透けた下着が見えないように学ランかけてくれたのね。颯爽と去っていく彼をみながら、‘こう云うところは紳士的なんだよね’と呟いた。やがて、彼の気配がなくなると蓮華はしゃがみ込み、声にならない声を上げる。役者顔負けの演技もここまでのようだ。

しゃがみ込み込んですぐに山本に抱えられまた元座らされていたマットに戻された。





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