Black Memories 短編集 -理解されにくい趣味-

てっち@
@tettixp

「またアニメのポスター増えてるのか。彼氏を呼んでも恥ずかしくない部屋にしとけよ?」

「五月蝿いよ、勝手でしょ?」

 嘲笑うような表情の男と、怒りで頬を膨らませている少女。

 鈴蘭和哉・春香父娘である。

 春香が用を足そうと自室から出た所を父が偶々横切り、そんな会話が交わされたのだった。


 ――久に見られても全く恥ずかしくないし。


 部屋には大小様々なポスターが貼ってあるが、一際目立っている――今回の指摘の原因になったであろう――のは、春香と同じ年頃の男女が抱き合ってキスしているやや大きめの1枚だろう。

 見る人によっては「少年少女の育成によろしくない」と声を大にして主張するかもしれない。

 しかし、春香には或る確信があった。


 ――お父さんみたいな人は今後確実に減ってくる。私がお婆さんになる頃には当たり前の文化になってるんじゃないかな。


 リビングに向かう父親の背中をキッと睨んだ直後、トイレに行くつもりだったことを神経越しの尿意で思い出し、そのままトイレへと向かった。

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春香の好きな色は黒だという。それは意外な形で既に主張していた。

ふとしたことで語られる、春香と久の初恋の相手とは――