SAKURAペダル

2ペダル

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私が小野田君と別れ、自分のクラスに入ると中学の時同様響く歓声。


正直もう聞き飽きた。


「ねえ、あれってモデルのSAKURAじゃない?!同じクラスなんてラッキー!!」


「え?うっそ本物?!俺大ファンなんだよね。サインください!!」


「ここに入学するって噂マジだったんだ!!」


教室中から聞こえるその声はすべて私にも聞こえている。

今、私の周りはサインとか握手目当てで寄ってくる人ばかり。

誰も私と友達になろうという人はいないのだと思い知らされるこの瞬間が嫌だった。


私はいつもの営業用の笑顔でサインをかいてあげようとした


ーーーそのときだった。


「ちょっとどいてもらってええか?そこはワイの席や」


赤髪の男子生徒が指を指すのは私の隣の席。

そこには私にサインを求めていた人が座っていた。


「あ、わりぃわりぃ」


「気にすんな!ワイも気にしてへんし。というかなんでこんな人だかりができてるん?」


赤髪君は自分の席に着き、私のほうを見てとたんに目を輝かせる。

私はこの時点では彼もまわりの集団と同じだと思っていた。


しかし、それは違った。


「ほおおおおお――!!ごっつ別嬪な外人さんやないかい。日本語はしゃべれるんか?

 これから1年間同じクラスやし、よろしゅーたのんます」 


彼は私の肩をがっちりつかんでにかっと笑った。


まるで太陽みたいに。


私が呆気にとられているとクラスの生徒が信じられないものを見るように彼に言った。


「お前知らないのか!?モデルのSAKURAだぞ!?」


モデルSAKURA。

私の芸名であり、最近ではMOM-MOをはじめ、様々な雑誌やCMに出ているため知らない人はあまりいない。


「もでる???きょーみないわ。ワイ、雑誌もテレビもロードレース関係のしか見んし」


この赤髪君も自転車乗りなんだ。どうりで良い筋肉のつき方してるなって思った。


「自己紹介がまだやったな?ワイは鳴子章吉。大阪から来た浪花のスピードマンや。

 別嬪さんの名前はなんていうん?」


 彼は私が芸能人だと知っても先程と同じような笑みを浮かべ、手を差し出してきた。


「私は東雲咲良」


差し出された手を掴もうとしたが、赤髪君もとい鳴子君は私の手を両手でしっかりと握り、いきおいよく上下に振る。


「東雲さんいうんか!ほんじゃ改めてよろしゅーに」


「あ、う、うん」


 やっと鳴子君が手を離したと思ったら何か考えはじめ、数秒考えたあと口を開いた。


「でも東雲さんはなんか言いづらいわー。咲良って呼んでもええか?」


「かまわないけど?呼びやすいように好きに呼んで」


また冷たい態度をとってしまった。これは私のダメなところだ。

これだからあまり人が寄り付かないんだろうなといつも思う。

しかし、鳴子君はそんな私の態度に顔をしかめることなく、先程と同じ笑顔だった。


「じゃあ咲良って呼ばせてもらいますー。嫌やって言っても聞かへんからな?」


私はその言葉に少し驚き、思わず素の顔で笑ってしまった。


「鳴子君って面白い」


「……あーよく言われんねん!!」


私が笑っていると担任が来たようでクラスメイトがおのおのの席に着く。


「鳴子君、これからよろしく」


「おう!!」


私は共通の趣味をもった友人というわけではないが、この高校ではじめて友人ができた。


鳴子君は太陽のようなその笑顔で冷めていた私の心を一気に溶かしてくれる。

私の心にも春が来ることがあったのかと嬉しく思ったのだった。


鳴子君に言い忘れてたことを思い出し、小声で教える。


「鳴子君、私は外人じゃなくてただのハーフ。日本生まれの日本育ち、生粋の日本人」


鳴子君は驚き、すまんのポーズをする。本当に見てて飽きない人。


これから少しは学校が楽しくなるかと思うと、私は思わず笑顔になってしまうのだった。

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