知能と解法

水波形@中二病シナリオライター
@suihakei

終わらない解

1995年2月13日。

この日をご存知だろうか?


そう、「フェルマーの最終定理」が証明された年月日だ。

何百年と人の時間を奪い、死に追いやったフェルマーの最終定理と言う悪魔。


絶対に解けない。

解くことができない。


そう言われ続けてきたが、それでもなお解こうと必死にもがいた人たちがいた。

そしてワイルズによって証明された。


この世の中に、解けないものはない。

解き、その快感を得るために数学者達は数式をいじる。


数式はいたるところにある。


PCだって数式で動いている。

商品のレコメンドは、ベクトル空間の賜物だ。


彼もまた、そんな無謀なことに挑戦する男だ。


「……ぐっ……」


グシャリと紙を丸める。


『量子テレポーテーション』


簡単に言うと、

電気信号が、2つの量子の中でまるでテレポートしたように伝わる事を言う。


例えば、

片側の量子に1という情報を与えると、もう片方の量子も1という情報を持っているのだ。


しかし、そのような事が分かっているだけで、何故そうなるのかはわからない。

量子の世界は、知れば知るほどわからなくなる。


またグシャリと、男は紙を丸めて背後に捨てた。

嫁も彼女も家族もいない。

ボロボロのアパートで一人、納得のいく理論を見つけるまで、

はたまた彼の寿命が尽きるまで、彼は数式を解き続けるだろう。


これが数学に、数式に魅入られた人間の姿である。

著作者の他の作品

空を飛ぶ女の子に恋をした話

色の見え方とクオリアと