春琴抄

カチッと嵌めたら治るお鈴🍵
@rinrinrin05

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「お帰りなさい‼︎お姉様ぁっ‼︎」




いきなり、語尾にハートがつきそうな声をあげたのはナオミだった。

それは、探偵社の廊下から聞こえ、その言葉を聞いたナオミの兄・谷崎潤一郎は椅子をガタガタと鳴らすと廊下へと続く扉を開け出ていってしまった。



突然の行動に唖然とする敦を他所に国木田と太宰は、顔を見合わせ「帰ってきたみたいだね。」や「騒がしくなるな…主に谷崎妹の方が…」などと話していた。

敦は、国木田と太宰の話についていけず、頭にハテナを浮かべているとその様子に気づいた国木田が「あぁ、敦は初めてだな彼奴に会うのは…」と呟いた後、「谷崎くんには、双子の妹がいるんだよ。」と太宰が横から言ったのだった。


敦「そうなんですか⁉︎」


驚く敦ににこにこと笑う太宰は、「そして、国木田くんの好きな人なんだよぉ。」と言うと国木田は、「俺の理想の女性像とは程遠い‼︎」と声を荒げて言った直後、カタンと言う音が敦達の耳に届いた。



その音の方へと敦達3人が目線を向けると、其処には、谷崎兄妹とその真ん中に谷崎兄と同じ様にヘアピンをつけた黒髪の少女が立っていた。


何処と無く谷崎兄に似ている黒髪の少女は、その瞳に涙の膜を張り、泣きそうになっているのを必死に堪えているように見えた。



『すいません………えっと…程遠くて…っ』



そう言うと大きな瞳からポロポロと涙が溢れ落ちた。












『いきなり泣いちゃって、すいません。自分、泣き虫なもンで…。』



敦「大丈夫ですよ!ちょっと吃驚したけど…。」


探偵社と同じビルの一階にある喫茶・うずまきに移動した敦と太宰と谷崎兄妹は、いきなり泣き始めてしまった谷崎潤一郎の双子の妹をとりあえず宥めた。

国木田がついて来なかったのは、双子の片割れ谷崎潤一郎と妹・ナオミが「「ついて来ないでください。」」と若干キレ気味に言われたからである。


谷崎片割れが落ち着きを取り戻した頃、目の前に座っている太宰と敦にペコリと頭を下げた。


『自分、谷崎琴と言います。太宰さんから聞いてると思いますが、谷崎潤一郎の双子の妹でナオミの姉です。

二人と同じく武装探偵社で働いています。』


琴が敦に自身の自己紹介をすると琴の左手に抱きついていたナオミは、更に力を込めた。


谷「敦くん、琴も僕と同じ異能力者なンだよ。」


ナ「ナオミ、お兄様の異能も好きですがお姉様の異能力あれ大好き!」


語尾にハートがつきそうな声を出しながら言うナオミに琴は、そっとナオミの頭を撫でながら『ありがとう。』と微笑んだ。



敦「それしても、琴さんは今まで何処かへ行かれていたんですか?」


谷崎やナオミが久しぶりや会いたかったなどと話しているのを聞いていた敦は不思議に思い訪ねてみた。


すると琴は、コクリと頷くと

『自分は、よく地方の依頼に行く事が多いンです。なので出張も多く、潤一郎とナオミと離れている事が多いんです。』

と答えるとナオミに向かって『腕が痛いよ…ナオミ…』と言うとナオミは悲しそうな顔をする。

そんなナオミを見て##NAME1#がオロオロとするのを見て片割れの谷崎は、困った様に笑うだけだった。









うずまきに来て一時間が経とうとした頃、入り口の扉が開き、お客さんが入って来た事が伺えた。

5人は、特に気にする事無くわいわいと話していると5人が座っている席に誰がピタリと止まった。

5人は、話すのを止めると視線をその誰かへと向けた。



敦「国木田さん?どうしたんですか?」


5人の元へとやってきたのは、国木田だった。

国木田は、琴へと目を向けると「琴。今、いいか?」と訪ねてきた。



『へ…っ?自分…ですか…?』



琴がそう言うと国木田は、コクリと頷いた。

そんな国木田を見て、『あ、はい。』と言うと通路側に座っていた自身の片割れに退いて貰おうと声をかけると谷崎は、琴の右手を恋人同士が繋ぐ様に繋いできた。

左のナオミは、更にギュッと絡みついている腕に力を込めた。


突然の谷崎兄妹の態度に敦と太宰は、目を丸くさせ、国木田は眉間の皺を更に濃くさせた。


国「谷崎…俺は、琴に用があるのだが」


谷「国木田さんの理想の女性像に程遠い琴に何か御用ですか?」


ナ「今、お姉様はナオミ達とお昼の休憩を楽しんでますの。」


ねー?お姉様。と言うナオミと谷崎の態度にオロオロとする琴を心配そうに見つめる敦に国木田の事を楽しそうに見つめる太宰と言う側から見れば不思議な光景になっていた。


オロオロとしていた琴は、下を向くとボソリと何かを呟いた。






『異能力・春琴抄(しゅんきんしょう)』





すると、琴の体が一瞬光ると其処には、黒髪の幼女がちょこんと谷崎とナオミの間に座っていた。


その幼女は、谷崎とナオミの間をスルリと抜けるとテーブルの下を通り、慌てて捕まえようとする谷崎兄妹の手をすり抜け、

国木田の手を掴み走り出すと喫茶店から出て行ってしまった。



谷「琴っ‼︎」


ナ「行かないで‼︎お姉さまぁぁっ‼︎」


叫ぶ谷崎兄妹に太宰は、気にする事なく珈琲を啜る。

敦は、飛ばしていた意識を元に戻すと太宰に「いいい今のは⁉︎琴さんが幼女に⁉︎」と慌て出した。



太宰は、珈琲杯を机に置くと「あれは、琴ちゃんの異能だよ。」と言った。


敦「異能なんですか⁉︎あの幼女が⁉︎」


太「敦くん、幼女と連呼していると不審者みたいだよ。」


太宰がそう言うと敦は「すいません。吃驚してしまって」と言うと目の前にいる片割れに逃げられて複雑な気分の谷崎が琴の異能について教えてくれた。


谷「琴の異能力・春琴抄は、自身の姿や琴が触れた相手の姿を別の人間に変化させる異能力なんだ…。」


ちなみにさっきの姿は、ナオミの小さい時の姿だよ。と言うと谷崎は、ため息を吐いた。









一方、うずまきから走り去った国木田と琴は、追っ手が来ない事を確認するとピタリと走るのを止め、近くの公園のベンチへと腰をかけた。

だが、二人の間には無言が続いていた。


側から見れば、幼女と男性がベンチに二人、腰を掛けている姿は怪しいように見えるが本人達は気にする事なく座っている。


そんな二人の間に流れる沈黙を破ったのは、以外にも琴だった。


『あの、国木田さん…何か話しがあったンですよね?』



おずおずと尋ねる琴に国木田は、少し目を泳がせた後、口を開いた。


国「あの…その…なんだ…」



しどろもどろになる国木田を見て、琴は心配そうに見つめた後、ハッと自身がしてしまった行動を思い出し、眉をへにょんと八の字にさせると国木田の名を呼んだ。



国「なんだ?」



『えっと…自分のせいで、国木田さんを困らせてしまってすいません。

久々に帰ってきた探偵社で急にあんな話しが聞こえてきたもんで吃驚しちゃって…』



本当は、そんな理由で泣いたのでは無かった。


人一倍、泣き虫で寂しがり屋である自身が不安いっぱいになりながら一人で任務を終えて久々に帰って来た探偵社で片割れと妹に迎えられながら、太宰達に挨拶をしようと足を向けたのが始まりだった。


腰を抱く片割れと腕に絡みつく妹に今日もスキンシップが激しいなぁなんて呑気に考えていた時だった。

扉を開けた瞬間に聞こえてきたのは、自身の名前と国木田の声で俺の理想の女性像とは程遠いと言う自身を否定される言葉だった。



ただの言葉なら、何も思わなかった。

赤の他人の言葉なら涙は、出なかった。

だが、我慢しようとした涙が止まらなかったのは、自身の想い人である国木田から言われた言葉だったからだ。


そう、琴は理想主義者で理想中毒者である国木田独歩に想いを寄せているのだ。

何故、国木田なのか、国木田の何処が良いのか。

何度問いかけても琴自身も分からないのだ。


ふっとしたある日、自身が異様に国木田の事を目で追っている事に気がついたのだ。

始めての感情に戸惑いどうしたら良いのか分からなかった琴が頼った相手は、武装探偵社社員で専属医である与謝野晶子だった。

琴は与謝野に相談しこの想いが恋だと知ったのだが、国木田の理想の女性像を知っている(太宰が以前言いふらしていたのを聞いた。)側としては、一生叶いもしない想いは言わないで胸に秘めておこうと決めたのだ。


だが、そう決めていた中に聞こえてきた国木田の自身を否定する言葉に隠した恋心が悲鳴をあげ、泣いてしまったのだった。



そんな気持ちなど知らない国木田には、突然泣き出した自身を見せてしまい困らしてしまったのだ。



『だから、すいません。困らせてしまって…』



好きな人を困らせてしまった自身の情けなさに肩を落とす琴の前にスッと何かが差し出された。


琴が顔をあげると横に座っている国木田が白い袋を差し出していた。



国「受け取れ。」



国木田が更にズイッと差し出すので琴は、慌てて受け取ると「やる。」と言われたので礼を言うと袋を開け、中身を取り出すと其処には、険しい顔をした熊のぬいぐるみがあった。


何処となく険しい顔が国木田に似ており、熊のぬいぐるみは、可愛くないのに可愛く見えた。


国木田は、どんな顔をして このぬいぐるみを買ったのだろうか。

全てにおいて手を抜かず全力で取り組む国木田の事だ、このぬいぐるみを買うのにも全力で琴が気にいるかどうか考えて購入したのだろう。


そんな事を考えるだけで、琴には自然と笑みが零れた。



国「すまなかった…。俺の一言が、琴を傷つけた。」


そう言うと国木田は、琴が持つ熊をひと撫ですると「お詫びの印に受け取ってくれないかだろうか…」と言った。


琴は、可愛くない熊のぬいぐるみをギュッと抱きしめた。



『ありがとうございます。私の為に…』




そう言うと国木田に嬉しそうに笑った。



国木田は、琴の笑顔を見ると安心したように笑ったのだった。













敦「大丈夫でしょうか…?国木田さんと琴さんは…」


探偵社へと戻り、ふっと敦が言った。



その言葉を聞いた太宰は、「大丈夫大丈夫。」と愛読書を読みながら軽く返事をした。

そんな太宰に敦は、「そんな軽く言わなくても。」と困った様に言うと太宰は「本当に大丈夫だから。」と言った。


敦「なんの根拠があって、そう言うんですか?」


敦の問いに太宰は、愛読書から目を離し敦へ視線を向けるとフッと笑った。




「理想と現実は、違うと言う事なのだよ。」




その言葉の意味が分からない敦は首を傾げたのだった。






更に言うと、国木田くんが必死で彼女の為、動いたのが答えだよ。






太宰が呟いた呟きは、誰にも聞かれる事はなく消えた。



おわり。







*夢主設定

谷崎琴

デフォルト名:琴

谷崎潤一郎の双子の妹でナオミの姉。


異能力・春琴抄(しゅんきんしょう)

自身の姿を別の人間の姿に変化する異能力。

他人にも使用者が触れる事で変化させる事が出来る。

ただし、異能力者に変化しても異能力は使えない。


デフォルト名の琴は、谷崎潤一郎が執筆した『春琴抄』の主人公:春琴から由来。

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