華ノ嘔戀 ~神漣奇譚~ -雪華ノ抄-

嘉月 ゆい
@sui_gekka

雪華ノ抄1-花の色-

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雪と桜が舞う――――幻想的な風景

それがこの”本丸”を囲う”結界”であると知った時は驚いた


全ては外敵からこの場所を―――ーひいていは審神者である”彼女”を護る為


その為ならば、俺は―――どんな犠牲も厭わない―――………








「沙紀」


朝―――ふと、呼ばれた気がして顔を上げると

廊下の向こうから鶴丸と山姥切国広が歩いてくる姿が見えた


思わず、顔が綻ぶ


沙紀は、ゆっくりと丁寧にお辞儀をすると


「おはようございます。 りんさん、山姥切さん」


そう言って、朝の挨拶をした

沙紀のその言葉に、鶴丸も山姥切国広も返事をする


「こんな朝早くから、お二人でいらっしゃるのは珍しいですね。 どうかなさったのですか?」


何気なく沙紀がそう尋ねると、鶴丸が面白い事でもあったように笑みを浮かべながら


「いや、国広がな……」


「おい…っ!!」


鶴丸が何かを言おうとした瞬間、山姥切国広が口を挟む

そして、ふいっとそっぽを向くとそのまますたすたと歩いて行ってしまった


「……………?」


沙紀は山姥切国広の行動の意図が読めず、その躑躅色の瞳を瞬かせると首を傾げた


「……山姥切さんは、どうかなさったのですか?」


鶴丸にそう尋ねると、鶴丸はくつくつと笑いながら


「ん、んーまぁ、教えるのは簡単なんだがなぁ…」


そう言って、沙紀の頭をぽんぽんっと撫でた

益々、意味が解らず沙紀が首を傾げると、鶴丸はくすっと笑みを浮かべ


「ほら、そろそろ光忠が朝餉の用意をしてる頃だ。 行くぞ」


そう言って、沙紀の左手に自身の手を重ねると

そのままゆっくりと歩きだした


突然 握られた手に 思わず頬が高揚するのが分かった


「あ、ああ、あの……っ」


沙紀が、戸惑った様に声を上げると

鶴丸は「ん?」と優しげな笑みを浮かべて振り返った

その表情があまりにも優しげで、沙紀が益々顔を赤らめる


それを見た鶴丸は、またくすりと笑みを浮かべ


「沙紀、顔。 真っ赤だぞ」


そう言って、とん…と沙紀の額をつついた


「~~~~~~っ、りんさんっ」


なんだか、鶴丸の一挙一動に振り回されてばっかりだ

沙紀が抗議する様に、頬を膨らます


だが、そんな沙紀の心情に知ってか知らずか

鶴丸は、くつくつと笑いながら


「沙紀、そんな顔しても逆効果って言うんだぞ?」


そう言って、空いている手でもう一度沙紀の頭を撫でると

そのまま広間の方へ歩き出したのだった







*****









広間に付くと、皆が既に揃っていた


「あ、沙紀君、鶴さん。 早く席に付いて。ご飯冷めちゃうよ?」


燭台切光忠が膳を運びながらそう言う

それを見た沙紀は、慌てて光忠の側に駆け寄ると


「あの…燭台切さん、手伝います」


そう言って、光忠が運び終わっていない膳を持とうと手を伸ばした時だった

不意に横から手が伸びてきたかと思うと――――ひょいっとその膳を全部持ち上げられてしまった


「あ……」


はっ…として顔を上げると、大倶利伽羅が無言で膳を運んでいた


「お、大倶利伽羅さんっ、私も運びま――――…」


そこまで言いかけた時だった、目の前に突然 しゃもじが差し出された

一瞬、それが何を意味するのか分からず、きょとん…としていると

差し出した光忠は、にっこりと微笑み


「沙紀君は、これ。 皆にご飯よそって?」


「あ、はい」


言われて、しゃもじを受け取る

思わず、まじまじとしゃもじを見てしまう


よくよく考えれば、ご飯を盛った経験などなかった


………………

普通に、よそえばいいの…よ、ね?


いつも、自分に用意されていた膳を思い出す

綺麗に盛れるかは分からないが……

難しくはない――――筈、で、ある


意を決して、ご飯をよそおうとした時だった


あ、れ………?


視界に何かが入った

一瞬、見間違いかと思い その瞳を瞬かせる


昨日までは何もなかった場所――――

そこには、一輪の花が飾ってあった


「これ――――………」


沙紀が思わず手を止めて、その花を見る

それは美しい花弁をした―――……


「躑躅ですね」


不意に声を掛けられて振り返ると、一期一振がにっこりと微笑ながら


「おはようございます、沙紀殿。 それは今朝がた山姥切殿が摘んでこられたのですよ」


そう言って、山姥切国広の方を見た


え――――……


それで気付いた

先ほど、鶴丸が言おうとしていた事

それは―――――……


そっと、躑躅の花に触れる

まだ咲くには早い筈の花なのに、今こうして目の前にある―――……


「きれい……」


桃色の美しい花弁が、何もなかった場所に色を添えている

それだけで何だか、嬉しくなった


「山姥切さん、どうしてこの花を…?」


ふと、何気なくそう聞いたつもりだったのだが…

山姥切国広には地雷だったのか…ぎくりっと顔をこわばらせた


「………………?」


ただ聞いただけなのに、何故そんなに固まるのか…

沙紀が不思議に思っていると、鶴丸がにやにやと笑みを浮かべながら山姥切国広の肩をがしっと掴み


「沙紀、こいつはな この花が――――ー」


「…………っ、おいっ!!」


何かを言いかけた鶴丸の口を、山姥切国広の手が慌てて塞ぐ


「…………???」


益々意味が分からず、沙紀は首を傾げると

山姥切国広は、「………っ」と息を飲みながら頭の布を深くかぶり


「………あ、あんた…色だった、から……」


「……え…」


「…………っ、だから―――…」


そこまで言いかけたが、口をパクパクさせたかと思うと

かぁ…と顔を赤くしたまま俯いてしまった


「………………」


沙紀はじっと、その躑躅の花と山姥切国広を見た


私の…、いろ……?


「国広が言い出したんだぜ? どうせ飾るなら沙紀に似合う花がいいって」


鶴丸が付け加える様にそう笑いながら言う


「そうなんですよ。 山姥切殿は自分が探すと言って 朝早くから探されていたのですよ」


そう言って、一期一振がにっこりと微笑んだ


「…………………」


私に似合う花…?

それでこの花を――――――?


躑躅という美しい花が自分に似合うかなんてわからない

でも……


「最初大変だったんだよー? 鶴さんは、沙紀君に似合うのは白い花だって言って聞かないし…挙句の果てに月下美人とか言い出すし…」


笑いながらそう言う光忠が、はいっと汁物を注いだ椀を差し出す


月下美人は一夜しか咲かない花だ

朝には萎んでしまうし、香りも少々きつめなので飾るには不向きだろう


「私は鈴蘭もいいと思ったのですが…」


という一期一振に、口を挟んだのが山姥切国広だったという

山姥切国広は、沙紀に似合うのは躑躅の花だと言って譲らなかったらしい


その時だった、不意に「主」と聴こえたかと思うと

突然くいっと上を向かされた

驚いて大きくその瞳を見開く

いつの間に来たのか…目の前に美しい三日月色の瞳があった


「み、三日月さん………っ」


それは、三日月宗近だった

三日月の突然のその行動に、沙紀が動揺を隠せずにいると…三日月は「ふむ、成る程な…」と言ってそのままゆっくりと顔を近づけてきた


三日月の美しい顔があまりにも近くて、沙紀の顔が次第に赤く染まっていく


「あ、の……っ」


どうしていいのか分からず、おろおろしていると

不意に後ろから手が伸びてきて、ぐいっと沙紀の肩を抱くとそのまま引っ張られた


「三日月、近すぎだ」


若干、怒気の混じった声音で鶴丸が自身の腕の中に沙紀を守る様に抱き寄せると、三日月を睨んだ


だが三日月は、鶴丸のその態度を気にした様子もなく

相変わらず食えない笑みをしたまま


「主の瞳の色だな」


「え……」


一瞬、何が…? と思うが、はっと気づいた

思わず、躑躅の花を見る


先ほど、山姥切国広は何といっていたか

沙紀の色と…


じゃぁ…山姥切さんは……


自分の瞳と同じ色だから、この花を選んでくれたというのか…


思わず、皆を見る

皆、その理由を知っているのか笑っていた


「………………」


ぎゅっと、心の中が温かくなる

感じた事のない感情が溢れだしてくる


嬉しい――――と


皆の気持ちが嬉しくて 温かくて

優しい 気持ち―――――…………


「皆さん……ありがとう、ございます」


そう言った沙紀の顔は、今までにないくらい嬉しそうな顔だった――――…












―――――――――――――――――――――――――――――――――――


ここまで読んで下さってありがとうございます

ちょっと面白そうなシステム?だったのでお試しで書かせて頂きましたw


こちらのお話の本編はサイトの方にあるのですが、

本編のほんの一コマ的な感じで書けたらいいなぁ~と思っております


まだうちの本丸はこの面子しかいないのでwww

他の子でて来れないんですけど…

機会があったら、他の子も早く出したいです(=^▽^=)




嘉月(2016.11.15)