【Bougainvillea】大狼編集の委託ライター

【第14章】にくきゅう島に残されていた真実。

肉球島から帰ってきた日のココノエ宅での夕食後、犬小屋と呼ばれている自室に戻った俺はインターネットで

【ハリケーン・リリィレポート 機密 真実 人間】

などと入力して検索してみたが、教科書や一般書籍で知っている内容しか出てこない。

だんだん真面目な検索に飽きてきて・・・キーワード入力の方向性が変わってくる。

(心当たりある紳士も多いと信じている!!)

【コスプレ 可愛い コミケ】

ほうほう・・・今年も可愛いレイヤーが多いようで。

ここで画像検索に切り替えて・・・

【コスプレ エロい 素人】

ふむ・・・。

俺はさらに調子に乗る。

【コスプレ エロい 素人 縞p・・・・・・

と、あるキーワードを入力しようとしていたとき・・・

「ちわーっす。ココノエ屋でーっす!」

俺の部屋には【勝手口】を開けてココノエ様が入ってきた。

いや待て・・・俺の部屋の出入り口は玄関が1つだけだ。

正しい意味とは違うが文字通り、術で『勝手に』作ったのだ。

「お醤油はいらないから、そのドア消してから帰ってくださいね。」

何もない壁にドアを作るなんて、あなたは義手と義足の錬金術師ですか。

しかし、自由なクソババァは人の話を聞かない。

ずかずか上がってノートパソコンの画面をのぞき込む。

画像検索モードで検索されたままの画像が、画面にびっしり並んでいる。

「最近は人間のおなごもスタイルが良くなってきたのう。」

「ココノエ様、こちら、帰りに本国側の港町で買ってきた【黒糖カステラ】になります。」

とりあえずエサで黙らせた。

数は少ないけど、1つ1つが包装されたちょっといい値段のするお菓子だ。

(俺にとっては500円を超えれば高級品。)

そこへまた【妖怪:集金イタチ】ことアオイが現れる。

「マイケル!!集金の時間だ!!」

不敵な笑みを浮かべ、天井に四つん這いで張り付いていた。

怖っ!!

もしも真夜中に1人で見たら確実に心臓に悪い!!

「今日こそは・・・。」

天井から飛び降りてくるアオイ。

「受信料をおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ・・・・・・・。」

アオイは床に着地せず、飛び降りた格好のままフラフープサイズの謎の穴の中に落ちていった。

底にぶつかる音が聞こえない程深い穴なのか・・・どこかへのワープなのかは分からない。

ついでに言っておくと、この穴は見覚えがない。

「すまんのアオイ・・・このカステラは妾の者じゃ。」

独り占めする為に奈落クラスの落とし穴を術で作ったのかこのクソババァは。

ココノエ様が包装を開ける姿を正面に、横目で見る落とし穴が閉まっていく。

大丈夫だろうかアオイは・・・。

ココノエ様は死ぬような術は使わないと思うけど・・・。

あ~・・・ある意味ではそれ以上のことをやりそうだけど・・・。

その穴が【オニテン小屋】の中に繋がっていて、翌朝気絶したアオイが琵玖須と宇瑛士に『はむはむ。』されている姿が発見さることになるなんてことは、このときに分かるはずがない。

「おばあちゃん、乾燥剤ごと噛んでますよ。

ぺ~しなさい。」

なんで年寄りはお菓子にくっついた乾燥剤に気付かないかなあ。

「だからほら、乾燥剤ついたままですって。」

そして同じことを言った側から繰り返す。

結果・・・全部食われた。

ところでのクソババァは何をしに来たんだ?

「さて・・・何をしにきたんのかのう?」

あんたが忘れるな。

「ちと待っておれ。」

一度【勝手に開けた裏口】から外にで出る。

そして

「ちわーっす。ココノエ屋でーっす!」

そうそう・・・忘れたときは元にもどってやり直す。

マテ。

ノートパソコンにまで近づかなくていい。

あと、裏口は帰る前に撤去させる。

「思い出した!!」

四次元【バスト】に手を入れて取り出したのは、古い洋紙の束だった。

万年筆の手書きの文章で何かかが書かれている。

「きったない字ですね。

これ絶対PDFにしたら、さらに鮮明に汚く見える文字ですよ。」

汚い字がより汚く見えるPDFの衝撃を経験したことがあるのは、俺だけではないはず。

「それはお主自信をディスることになるんじゃが・・・まあ、覚えてはおらんか。」

「何かありましたっけ?」

「ああ、いや・・・今のは気にせんでくれ。」

真剣に悩んでるような顔で【何か】を否定した。

アヤトも似たようなことを言っていたが・・・この人達は何を知っているんだろう・・・。

「昼間の【にくきゅう島】への訪問、ご苦労じゃった。

カツミレにとっても・・・これでよかったのかもしれんな。」

「あの・・・島で暮らしていた親子達の娘に墓があるのは分かるんですが、なぜ獣人のその子にも墓があるんです?」

しばらく黙るココノエ様の姿は、泣くのを堪えているようにも見えた。

「・・・遺体すら回収できなかったんじゃよ。

かろうじてあの子の最後を知る残留思念だけは集められたが・・・それも今では自然消滅してしまってな・・・。

妾が最後にできたことは、友の姿を壁画に描いてもらって忘れないようにすることじゃった。

花を供える習慣があれば、定期的に見行くじゃろ?」

一体何があったのだろう・・・。

戦乱の時代・・・その真実は日常的に伝わる歴史よりも混沌に満ちたものだったのか?

「真実はこの【ハリケーン・リリィレポート】にある。

【今】のお主がこれを見てどう思うか聞きたいと思うてな。」

俺はココノエ様から渡れた【侵略者と父親の顔をもつ男】の描いた資料を読んでみた。

戦乱の時代に【人間が関わっていた】という表向きは伏せられた真実。

人間世界と獣人世界を巻き込む想像していた以上の大規模な戦争。

東軍と西軍の戦争、または侵略してきた人間と獣人世界を守る獣人との戦いかと思いきや・・・人々の思惑が複雑に絡み合う背景がそこに隠れていた。

そして・・・まさかこれが物語の【本当】の結末だったとは・・・。

「真実が公開されていないのは・・・やはりこの手のお約束の【政府絡み】ですね?」

「残念ながらその通りじゃ。

夫もアオイの先祖と協力してある程度の悪事は暴けたが・・・妾達には他にもやらねばならぬことがあってな・・・。」

1つの答えが脳裏に浮かんだ。

ココノエ様が他にしなければならなかったことは・・・。

「にくきゅう島の親子の保護ですね?」

「彼らを・・・余命の間守るには、夫の管理下という建前が必要じゃった・・・。

しかし・・・まさか【あんなこと】になってしまうとは・・・。」

俯いて悲しそうな顔をするココノエ様。

でも【あれ】はあなたのせいじゃない。

どうにもならなかったんだ・・・。

当時生まれていない俺は当然、その場にいなかったが・・・まるで一緒に見たかのように、ココノエ様の悲しみが直接心に流れ込んでくる。

「せめて・・・親子がもう一度合えるといいですね。」

そう言ってココノエ様にハリケーン・リリィレポートを返した。

「もう再開しておる・・・この先は2人次第じゃな。

妾もあとは見守るだけじゃよ。」

「転生のタイミングによっては、今度は親子じゃなくて夫婦になれるかもしれませんね。」

「ふ・・・。

お主は自分の恋愛フラグの欠陥工事を見直すべきじゃの。」

ハリケーン・リリィレポートの話題から初めて笑った。

言っていることはけっこう痛いが。

「ほんっとうに・・・フラグ運に恵まれないんですよね。

俺よっぽど【前世】で悪いことしたのかなあ・・・。」

とココノエ様を見ると。

「・・・・・・・・。」

なぜ黙る?

しかも額に脂汗!?

目もコッチを見てない!?

「何か知っているならもう、潔く止めを刺してください。」

「まあ・・・なんだ。

もしすると、すでにタイミングが確定しておるのかもしれんぞ。」

あ、やっとこっちに見た。

よかった・・・脂汗もなくなってる。

「マイケル・・・【目印】を見失うんじゃないぞ。」

それは知らない・・・と言いたいが、心の中で何かが引っかかった。

知らないはずだけど・・・近くに重要な物があるような・・・そんな感覚だ。

大事なのは今のこの感覚を忘れないことだと思う。

「さて、年寄りは寝る時間なので帰るぞ。」

「そう言いながら、茶の間で見ていないテレビをつけっぱなしにして、マリカちゃんに怒られないようにしてくださいよ。」

「お主もR指定サイトの巡回で寝不足にならぬようにな。」

それは余計な一言である。

勝手口から自宅へ戻るココノエ様を見送った後、日付が変わりそうな時間だったので寝ることにした。

あ・・・アレ(勝手口)を撤去してもらうの忘れてた。


翌朝、早く起きた俺は大樹の手作りブランコに座っているマリカちゃんと話をする。

『今頃あの親子がこの世界のどこでどんな生き方をしているのか分かりませんが、きっと次も仲のいい2人だと思いますよ。』

マリカちゃんは俺とそんな話をして、皆の朝食を作りに戻った。


※ハリケーン・リリィレポートが気になる方は、

[【Hurricane lily】悲願の花の少女]

http://cvel.jp/book/10239/

にてその真実を確かめてください。





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