Arcadia

/S◇対象a:受験生
@kurenaikitune

堕天使が舞い降りる頃

…ブー、ブー…

「K57ASBからS38SOC。本棟50階S01から被験体が逃亡した模様。ナンバーS01A1。只今、50階西階段に進行中。」

「S38SOCからK57ASB。了解。直ちにサンプルを向かわせる。すべての階のゲートの封鎖を要求する。」


「なんでこうなったんだろう。」

廊下を走りながら考えていた。いつもはしない方向から金属音が鳴ったのに気が付いて目を覚ました。鉄のドアが開いたのを見た。コンクリートで何もない部屋。牢獄のように冷たくて狭い。あのドアが開いたとき、いつの間にか私はドアのほうに走り出していたのは覚えてる。でも、なぜドアが開いたのか、どこに逃げるかなんてわからないけど。

 けたたましいサイレンと重い金属が床に落ちていく音がする。とともにさっきまでいた部屋のほうから人の大群がやってくる。色々な恰好をして老若男女色んな人がいる。でも、この者たちの歩き方は変な方向に足が曲がっていたり、バランスとれていなくよろけていたり…見た目からしてゾンビだった。

「逃げなきゃ。」

走っていても逃げる先は金属の壁でふさがれている。それでも後ろからはゾンビがやってくる。逃げる場所などほとんどなくなった時、目の前には窓があった。まだシャッターは下りていない。行くしかない。窓を開け、ほんの少しの出っ張りを歩く。少し歩いた先にバルコニーみたいな広いところがあった。バルコニーといっても咲くとかがあるわけでもなく人がほんの数人はいれる程度の間しかない。そこは今いる階の一つ下のようだった。ちょうど風も吹いていない。少しの出っ張りから飛び降りてバルコニーに着地した。

 それにしても、とても高い。空気が汚いのか雲が下にあるのか、白く濁っていて、下をのぞき込んでも全然見えやりない。上を見ると空は青なのが黒なのか紫なのかよくわからない魔女の薬みたいな色になっていた。こんなに外は汚かったのか…。さっき飛び降りてきた窓はいつの間にかシャッターが閉じていた。少し休める。遠くのほうを見つめて座り込んでいた。

 その時、大きな音を出しながら飛び降りてきた窓からゾンビたちがこっちに落ちてくる。やはりこの人たちは思考がないのだろう。何人もがバルコニーから下に落ちていく。バルコニーに乗れても幅の問題でやはり落ちていく。こちらにしても端のほうに追いやられる。ここから飛び降りたら…分かりきっていることだ。でも躊躇してる間もゾンビはバルコニーに補充されていく。


「…はぁ…。…行こう。」

小さな体を無理やり前に進めた。下に何があるかわからない。けど、ここでつかまるのは御免だ。目をつぶり前に体重をかけ、私は地上へと落ちていった。

とても長い白い髪が天使が羽ばたく翼のように見えた。

ただいまキャンペーン実施中!!

キャラベルで作品を見るだけで
コンビニお買い物券が当たるチャンスです

ログインしてください ※応募にはログインが必要です

詳しくはこちら:キャンペーン特設ページ