DM-ドールメイカー

うゆん🐧ぱっぴぃ☆
@ViaEre

ep2. Pyroxene of Carnelian


 僕の名前はネリア・ガネット。

 ドールマスターになって有名になるのが夢の女の子です。


 今は三大ドールマスターの一人であるルチル・ラドライト様のもとで、メイカー修行をしている真っ最中!今日もルチル様の工房「メレーホープ」の床をきれいにお掃除。

 ドール作りの道具やドールが置いてある部屋(地下室です!)には僕は入れないけど、店舗部分の清掃は弟子の最初のお仕事です。

 最初はうまく出来なくて観葉植物を倒してしまったり、照明を割ってしまったりしたけど、今は何も壊さずにきちんとお掃除できます。伊吹さんだって誉めてくれたんですから! あ、伊吹さんっていうのは、ルチル様のお師匠さまにつくられた老紳士のリアルドールで、僕にもとっても優しくしてくれるんです。

 メレーホープの看板娘の小さなフロイライン、クロシュちゃんとも仲良くなれたし、僕のメイカー修行は順調そのものと言っていいかもしれません。・・・・・・まだドールに命を吹き込んだ事はないけど。



「おい、ネリ子。なに書いてンだ?」

「ぎゃっ!! スピネルッ! 見ちゃダメです! ヘンタイ!!」 

「誰がヘンタイだ! んだこれ、日記かァ? なになに、メイカー修行が順調? バーカ。掃除しかしてねェくせに何書いてンだ」


 僕の書いた日記を勝手に取り上げて、堂々と読んでる茶髪ヤンキーはスピネル・ジャスパー。

 僕と同じく、(一応)ルチル様の弟子でいっっつも僕に酷いことを言うのだ。きっとスピネルは悪口しか言葉を知らないんです。じゃなきゃ毎日毎日こんなに悪口言える訳ないですよ!

 僕のメイカー修行に障害があるとすれば、このスピネルです。スピネルはルチル様に自分以外の弟子が居るのが気に入らなくて、僕に意地悪ばかりする。


「それよかネリ子。マスターが買い物に行って来いってよ」

「え! ルチル様が?」

「ほい、メモ」

 

 適当に渡された紙には、最近聞いた覚えのある品々が書かれていた。


「も、もももしかしてこれって、ドールの材料ですか!?」


 ドールは心核(コア)に命を吹き込むまでは普通のお人形――昔ながらのオルディドール――と、ほとんど同じ作り方をする。

 作業に使われるマシンドールは頑丈でないといけないから、もっと違う材質のもので作ったりするけど、基本の手順はどれも同じだ。

 メレーホープで取り扱っているドールは大半がファンシードールなので、見た目がかわいらしかったり、手触りが良かったりと、お客様の好みに合わせて様々なドールが置いてある。このドールの洋服や装飾を仕立てるのもメイカーのお仕事なんです!

 ドールの服なんかは普通の生地屋さんでも扱ってたりするけど、基本的に工房で作るドールの材料は専門のお店で買うらしい。

 僕は一度も行った事が無くて、お店に行くのを楽しみにしてたんだけど、まさかお使いを頼まれちゃうなんて!なんだか、すっごくドキドキしてきた。


「あと材料費な。間違えて違うの買ってくンじゃねーぞ」

「え、僕一人で行くんですか?」

「当たり前だろが。さっさと行って来い。地図も用意しといてやったから」

「わわわ、が、がんばりますっ!!」


 これはきっと、ルチル様から僕へのメイカー修行に違いありません。

 正直、僕はすこぉしだけ方向音痴で、ちょっぴりドジで、不安な気持ちもあるけど大丈夫。

 今の僕はルチル様の弟子。やっとここまで辿り着けたんです。お使いくらいお茶の子さいさいちょちょっとぱっぱですよ!

 メモとお金をバッグに入れて、ほっぺを両手でぱちん!


「じゃあ、いってきまーす!」


 お店までの地図をしっかりと手に持って、メイカーとしての修行・第一歩に出発です!

 スピネルが意地悪くにやついていたことに、修行で頭がいっぱいだった僕は気付きもしないのだった。



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