BL「運命の子拾いました」

しおり*創作アカ
@ss0usaku

「運命の子拾いました」(10)

あれから5年。僕はふつーな生活を送っている。無事に成人して、お酒も飲めるし、色々な人と付き合ってみたり。年相応の楽しみが出来て、それなりの毎日を送っていた。

ただ、あれ以降人間界には行っていない。5年経っても、変態が僕に及ぼしたショックは今でも残っていた。


……結局あの人は何がしたかったんだろう。「運命だ」とか言って付きまとってきて、でも、さっさと身を引いたあいつ。ただただ無駄に振り回されていたんだなと思うと、今でもむかつく。



さて。恋愛面でいうと、僕にはいま一人のパートナーがいる。朴訥だけど優しくて、きちんと気持ちを伝えてくれる相手だ。とても穏やかで、幸せな日々を送っている。



はずだった。唐突に、あの変態に会うことになったのだ。もう5年も経っているのに、今さら何の用だろうか。

……まじでしつこいな。少しイライラとする。

しかし、魔王様は2年で改心され、今はお連れ合い様とよい関係を保たれている。あのように、あの変態も改心しているかも。……一回あってみてもいいかな。


変態は変態として気持ち悪かったから、さっさと別れたかったのだけど、あのときの罪悪感や、すっきりしない別れに、未だに後悔があるのも事実だ。これを機に、ばっさり切ってしまえば良い。変態のことを気にしながら、過去の出来事を清算できないままわ他の人と付き合うのも、なんだか申し訳ない気がしていたし。


ということで、僕と変態は再び会うことになった。カイとお連れ合い様も一緒に来てくださるということだし、人間界のカフェに行けるのも楽しみだ。みんなと美味しいデザートを食べて、関係の清算もして、すっきりして帰ればいっか。そう思って、気軽な気持ちで行った。



当日。思ったより重い空気だった。変態は、たしか今年で40歳。ちょっと老けたかな、ってかんじだった。まあそれはさておき、まずはデザートだ。カイと一緒になって真剣にデザートと飲み物を決める。


そうやって、楽しい時間が終わった。

……そのあとは、変態の自分勝手な要望を聞く羽目になったけど。最悪だ。

結局5年経っても変態はクズだった。人間にとっての5年って結構長いよね?今まで何してきたのか全く分からないくらい、成長してなかった。


いつも自分のことばかり。臆病で卑怯で、また僕に求めてばかり、僕に負担をかけてばかりだった。



正直、失望した。



人間、こんなもんか。つまんねーの。

なにがつまらないのか分からないけど、とにかくイライラしたので、ついきつい口調で追い詰めてしまった。お前は、今でもそんなに自分勝手なのか。


成長していることを期待していた。なんなら、もう一回連絡とることぐらいからしてもいいかなと思っていた。それが、これだ。失望するのも当たり前。今さらの「好きだ」という告白。今さらにも程がある。



そう伝えたら、変態は泣き出してしまった。びっくりだ。人間界ではいい大人な変態が泣いている。

……泣くほど、僕に執着していたんだろうか。なんだか憐れに感じてしまった。恋活も上手くいっているくせに、まだ僕に執着する変態。粘着質というか、一途というかは微妙なところだけど、とにかく驚いた。



かわいそう。「運命の子」拾っちゃったがために、こんなに苦しんで。



「何がしたいんですか」


「運命の子」である僕と、なにがしたいのか。どう思っているのか。5年経っても知らないままだ。あり得ない。


僕を「運命の子」としてきちんと気持ちを伝えてくれたら。そうしたら、もう一度関係の構成ができる気がする。だって、5年前怖かったのは、相手が何をしてくるかわからなかったところだからだ。

相手は僕に何を求めているのか。これは、ちゃんと聞いておかねばならない。



結局のところ、僕は変態……かずなりさんと再び連絡を取ることになった。40歳にもなって未だに青二才な彼。しかし変態性は減っていたので、まあいいかと思って。


上から目線みたいに思われるかもしれない。相手のことを振り回しているように見えるかもしれない。だけど、僕だって変態に振り回されてきた。


今度こそ、ちゃんとした大人としてアプローチしてもらわなければ。



大人と大人の関係。対等に、そして素直に接することができるような関係。とても大切なことだ。それを、かずなりさんと構成できるのであれば。


ちょっと嬉しいなと思うのであった。