幻想

空想


女神は夢見る。

信頼する仲間との未来を。

暗い暗いBlackboxの中で。


こいつはいま俺の胎内にいる。

悪魔の胎内にいてもなおいつまでも空想する愚かな女神。

自分の存在がもう、いらないとわかっているのに。


始まりの物語の時点で女神はボロボロだった。

そこから何度物語を歩む力もないほどに。

でもそれでも物語を紡いだのは、愛する者と信頼する者がいたから。

最も大きい存在だったのは愛する者だったのだろう。


愛する者との未来を信じ、絶対に幸せになれると信じ。差し伸べられた手を取って物語を歩んだ。


でもそれをよく思わない奴もいる。

悪魔の連中や、残虐な悪の神。、女神がいればその裏側だっている。

女神に宿る命は最上級のもの。それを奪おうとしても。

強い力を持つ妖怪。人狼の生まれ変わり、である彼がそばにいては奪うに奪えない。

だから悪は色々な手を使った。


ある時は村への疫病蔓延。

ある時は仲間をすべて殺し。

ある時は女神自らを凍てつかせ。

ある時は肉親の兄を操作し。

ある時は、、、、女神を死の眠りへと誘った。


でもそれらはすべて失敗に終わった。

それもそうだ。女神のナイトであり、愛する者である、彼がずっとそばにいたから。

彼がいつもそばにいたのは、かわいそうな子を生み落としてしまった、愛を失った神の

少しの申し訳なさと、幸せになってほしいがためのエゴだった。


でも今女神である「彼女」は誰の手も届かない場所にいる。

憤怒の悪魔の胎内にいる。

Blackboxの中で永遠の眠りについている。


いま生きているあの「彼女」は全くの別人で。すべてを知らない他人。

俺と、ビヒモが用意した身代わり。


でも彼女は思い出してきている。

すべての物語に影である「あの人」がいたことを。

思い出して、彼が大切な人だったと感じている。

けれどそれは不完全で。今はまだ俺らの手の中にいる。


彼女が目覚めるまで。彼の手が届くまで。

いつまでも彼女はBlackboxの中で永遠を謳う。

それが届かないことも知らずに。

空想の中の永遠を抱きしめて。今日も彼女は涙を流す。

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