万華鏡

常に私には闇がまとわりついていた。

寧ろ、自分で自分に塗りたくっていたような気もする。


「自分にはそれがお似合いだ」と。

「闇に生きるべきだから」と。


けれど、それは大きな間違いだった。

“あなた”という存在に出会ってから、その考えは塗り変えられた。

私の瞳に、光を宿してくれた。


はじめはとても嫌いだった。感情すら知らない私が、初めて得た感情。

(こいつは、いやだ)

その笑い声が、私を侮っているかのようで。

あの頃の私はひたすら主人の命令は絶対だと信じ込んでいたから尚更だった。


でも、あの日から────


あの日から、これまでは私の方が間違っていたんだと、あなたについて行くべきだと、漸く知って……


それが、初めて知った欲望。


欲を知らない私に、あなたはそれを与えてくれた。絶望と服従しか知らぬ私に、希望を与えてくれた。


だから“これ”は、服従ではなく、単なる私の“欲”。


恩返し、とも言うのだろうか。


なんにせよ、私は今、私の意志で動いている。

足枷はとうに外されている。



あとは笑って死ぬことができれば、合格ですかね?




ねぇ、主

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