竜を狩る者たち

1-3

この小説は夢小説 (名前変換ができる小説) です。
キャラベルに登録してログインすると、登場人物の名前をお好きな名前に変更できます。

結局未だに踏ん切りがつかない私は、またふらふらと歩いて国の出入り口に向かっていた。

近くの建物の壁に寄りかかり、沢山の人々が出入りするその流れを見つめながら、私は先程の女性が言っていたことを考えていた。


――“仲間”って、一体誰の事を言うんだろう……。それに“刈り取る者”と“守り抜く者”ってどういうことなんだろう……。だってこの世界で“刈り取る者”と言えば……。


そこまで考えた所で私は、その先を考えそうになったのを掻き消す様に頭を振った。

そんなことはあり得ない、考えたくもなかった。

再び人々の流れを見つめている。すると私の所についさっきあの横道で出会った女性が現れた。


「私と来て、トワ。貴女の仲間がここに来たから、その場所まで案内する」


そう言って彼女は私の返答も待たずに私の手を取って歩き始めた。進む先には人々が行き交うこの国の出入り口。


「ちょ、ちょっと!ねえ!」

「急がないと、彼らが危ない」

「彼らって、誰のことを言ってるの?!私と同じ様にこの世界に呼ばれた人がいるってこと?!」

「そう。星の声を聞いた私が、貴女と同じ様に呼び寄せた人たち、それが貴女の仲間。そしてその仲間は今、この国の近くの草原に居る」


門をくぐり、魔物がいる草原へ出る。壁伝いにしばらく歩いて行くと、少し離れた場所に1つの場所に固まっている人の姿が見えた。


「あそこにいるのが、私の呼び寄せた貴女の仲間たち。急いで、彼らは今魔物に襲われかけているの」

「魔物に?!」

「私はまだ戦えない。貴女たちをこの世界へ呼び寄せること位しかできない。だから行って、彼らを助けて」


そう言って彼女は立ち止まって私の手を放すと、背後に回り込んでトンッと背中を押した。


――私しか、できないことなの?本当に?


兵士を呼ぼう、と後ろに居る彼女に声をかけようと振り返るが、既にそこに彼女の姿はなかった。

このまま見過ごして、少し離れた場所にいる誰だか分からないけど、彼女曰く私の仲間だという人たちが襲われるのを見ていていいのかと私自身に問いかける。


――答えは、1つしかないじゃん……!


大きく深呼吸を1つすると、私は思い切り地面を蹴っ飛ばして彼らの元へと向かった。


~~


「下がってっ!!」


味方を守ろうと立っている、後姿しか見えない青年にそう言うと、私は腰の鞭を手に取って思い切り振るった。

振るった鞭は敵・ラビの身体に綺麗に当たり、バシンッという音が響いた。


――もしかして、私の身体とかに何か補正がかかってる?


鞭なんて一度も振るったことのない私が、こうも綺麗に鞭を当てられたのがなぜか偶然とは思えなかった。そして少し離れた場所からここまで走ってくる時も、前の世界で走った時と感覚が違った。


――まぁ何でもいいや。今はとにかくラビたちをどうにかして、あの国に、カザン共和国に戻らなきゃ!


「はぁっ!」


前に居るラビたちに向けて鞭を振るう。先程と同じ様にバシンッという痛そうな音が響き、ラビたちは倒れた。


「怪我はなかった?!」


振り返って後ろの彼らに声をかけた。その瞬間、私は驚きで目を見開いて息を飲んだ。

そこに居たのは、服装こそこの世界のものだったが、私のバイト先のファーストフード店で姿を見かける中学生たちだった。


――どうして彼らが……!もしかして選ばられた仲間って、私の仲間って……!


「あぁ、怪我はない。全員無事だ。しかしお前は一体……」

「詳しい話は後にして、今はすぐそこにある国の中に入るよ!ここは危なすぎる!皆走れる?」

「大丈夫、走れる」

「俺たちも走れるよ」

「じゃあ私に着いてきて!国まで全力疾走するよ!」


そう声をかけ、私はカザン共和国に向かって全力疾走をした。


~~


城下町の中に入って人込みから少し離れた場所まで行き、私たちは息を整えた。


「っはぁ……えっと、皆居る?」

「あぁ……」

「しかし、ここは一体何処なんですか?それにこの服装や武器らしきものだって……」

「いきなり変な穴に落ちたと思ったら、こんなとこにいるし……どうなってんだ?」

「ここ何処なんだよ、いきなり神尾と変な穴に落ちたと思ったら、知らない場所にいるし服も変わってるし、変な兎に襲われるし……」

「知らない人ばっかりだしなんか耳が生えた人もいる、ね」

「ねぇ、アンタ。今日ファーストフード店のレジやってたッスよね。」


皆がまだ混乱したりしている中、1人の少し背の小さい男の子が私にそう話しかけてきた。


「なんでそれ、知ってるの?」

「だって俺、アンタの接客受けたし」

「私の……?あっ!もしかして来たら毎回ファンタグレープ頼んでる青学の子?!」

「そう。俺と部長、今日アンタのレジの所に並んでたんだけど、覚えてない?」


そう言って少年は眼鏡をかけた特徴的な髪型の青年に一瞬視線を投げた。

その青年は彼らを守ろうとして立っていた子であり、確かに私がバイト中に接客した子だった。


「あーっ!お、思い出したっ!!君も君も今日接客したっ!!それからオレンジの君は、ヘルプで行ったお店で女の子連れてたし、茶髪癖っ毛の君はアヒルみたいな子とかに連れられて来てたし、片目隠れてる君と黒髪の君は2人で帰ってるの見たことある!私近くの学校に通ってるから見かけたことあるんだ!」

「え、俺の事知ってるの?ラッキー!嬉しいなぁ、君みたいな可愛い子に覚えてもらっているなんて!」

「アヒルみたいな子……あぁ、彼のことですか。確かに少し前、チームメイトにファーストフード店に連れて行かれましたね」

「近くの学校?近くと言えば、あの公立高校か小学校位しかなかったけど……もしかしてあの高校に通ってるのか?」

「そうそう!そうだよ!」

「へぇ、あの学校に通ってる人だったんだ。じゃあ意外と勉強できるってことか、あそこ確か結構偏差値高かったはずだし」

「それより、説明をしてもらえないか。この世界と俺たちの置かれているこの状況について」


眼鏡を掛けた彼がそう言った所で、私はふと我に返った。目を閉じて小さく息を吸って吐き出し終わってゆっくり目を開けて彼らを見た。


「ここは、さっきみたいな魔物が居る世界だよ。そして、近々飛来する竜、ドラゴンによって滅ぼされかけるこの星に呼ばれて私たちはここに来た、らしい。私も詳しいことまでは知らないけれど、この世界の大まかな事なら知ってる」

「では、大まかな事でいいからこの世界の事教えてくださいませんか?」

「分かった。この世界は“セブンスドラゴン”っていうRPGゲームの舞台になってる世界と一緒だと思う。だから、厳密には言えないけどでも確実に、この世界にドラゴンが飛来する。そしてこの国、カザン共和国にもドラゴンのリーダーである竜帝が飛来し、壊滅状態になる。これは決まっている未来だよ。そして多分、私たちはその竜を全て狩り尽す存在なんだよ」