おかしな世界の君と僕

真実

すすり泣く声が聞こえる。

嗚咽音と鼻を啜る音。

「美月?」

声をかける。静かにしているつもりなのだろう。

「ごめんね?美月の考えをちゃんと聞かないで…だからお願い。『だって』の続き教えて?」

「ヒック私は、公のことヒック好きだし、憧れても、いるの!」

「そっか。ありがとう。でも、美月が言ったように、僕には好きな人がいる。ごめんね?一緒に帰ろ?」

「嫌!!ここに残る!二人で一生共に過ごす!!そのために公をここに連れて来たの!公の言うことは何でも叶えたし、雰囲気だってよくしたの!!公のこと好きだから、住人の顔も全員同じにしたの!!!」

それを聞いて心底びっくりした。

いや、もしかしたらずっと知ってたのかもしれない。

でも、現実を見たくなかったんだ。

「僕のお願い、全部は叶えてないよね?」

「でも、それは…」

「現実に、一緒に、戻ろ?」

「でも…」

「ね?」

「…反則だよ…その顔…言うこと聞いちゃうじゃん…」

「決まりだね!」

美月の手を握った。


気付いたら、見たことのある光景で、夕日が昇っていた。

帰ってこられた。

いつもの町並、いつもの声。

やっぱり落ちつく。

「ありがとう、美月!」

「うん…そのかわり、向こうに行きたかったらいつでも言って?」

「うん。わかった」

多分そんなこと思う日は一生来ないと思う。

「あ、公と美月じゃねーか!あ!公、美月泣かして!!」

「謝ったから!」

「うん、謝ってもらった!」

相変わらず美月は優しく笑った。

前みたいに悲しそうな笑いじゃなくなっていた。

著作者の他の作品

オリジナル友達は多いほうだけど、心の裏まで考えてしまう女子の話し。(被害...