闇の花が朽ちる時、君に幸福を。

炙りいか。
@aburi_yume_ika_

story3

この小説は夢小説 (名前変換ができる小説) です。
キャラベルに登録してログインすると、登場人物の名前をお好きな名前に変更できます。

私の周りを黒い花弁が包む。その花弁は一瞬で鋭い凶器に変わり、太宰に向かって勢いよく飛び出した。

「止まって、」

そんな願いが届くはずもなく、太宰の胸に直撃した

はずだった。

「な、に…?」

太宰が触れたところから、黒い花が消えた。

まだ私の後ろで揺れる黒い花は、太宰に近づけない、と言うようにそこにとどまっていた。

「これが、私の異能なのだよ」

太宰が私の肩をぽん、と叩く。まだ少し残っていた異能が光に包まれ消えた。

状況を把握できない私は、ただ触れられた手をぼお、と眺めることしか出来ない。

太宰はそんな私を見て微笑むと、もう1度口を開く。

「私の異能『人間失格』は、あらゆる異能を無効化する」


異能力無効化


覚えがあった。

この施設は、ご飯も汚いし、床だって冷たい。だけど、何故か本だけは無駄に設備がよかった。その中の1冊に、様々な異能力が書いてある本があった。

その本でこの言葉に出会った時、心が高鳴ったのを覚えている。

この異能なら、私は自由に外で生きれる。そう思ったのだ。


「私なら君を救える。」


太宰の自信の元は、この異能だったのか。そう納得した。

彼なら、私に


「生きる意味を、くれる...?」


こんな闇の花にも生きる意味が見つかるとは、思っていない。どうせ何かを傷つけるなら、私は私の為に生きる。そう決めたから。

だから、ここで太宰が無理だ、と言っても太宰にはついて行くつもりではある。

期待など、していない。


「与えれる」


太宰は真っ直ぐ鋭い視線を向けた。彼は今にはっきりと言った。私は少しの間理解が追いつかなかったが、自然と頬を涙が伝う。


「私を、連れて行って」


太宰に応えるように、重く強く言葉を放った。

乱れた心に反応するかのように、黒い花達がゆらゆらと発動した。

だが、先程までの恐怖はない。私の生きる道を邪魔する此奴らは、もう怖くない。


「行こうか、凛ちゃん。」


太宰が差し出した手を握り、立ち上がる。



背後で揺れる花達が光と共に消えていった。