【文スト】御伽草子【短編集】

緋寄@沼の底
@Enph_hiyo12

花嫁+

六月の花嫁June Bride

二十二歳出逢い。二十三歳プロポーズ。二十四歳結婚。




六月十九日を結婚式の日にするのはどうなのか、と云われたことがある。私的には構わないのだが、誕生日と記念日が混ざるとあとあと面倒なのだろう。

 新郎である太宰さん……治さんにプロポーズされたのが結婚式を挙げる一年前の私の誕生日、そして今日、式の日が治さんの誕生日。彼曰く「六月の花嫁と云うし、私の誕生日だし、私にとっては善い事尽くしだよ」とか云っていたが彼自身、自分の誕生日を嬉しく思っていない節があるからなのだろうと私は思う。

 自殺趣味のある人間失格野郎が誕生日を楽しく思えないのは当然だろう。だから少しでも思い出に変えたいのかもしれない。


「有難うございます」


なにがだい?と彼は呟いた。彼の白いスーツは少し違和感があるけどとても素敵で一枚の絵の様だ。私の今の格好も彼と同じように白のドレス、そして白いベールが顔に被さっている。


「治さんが産まれて来てくれて、私と出逢ってくれて、私を好きになってくれて…今日結婚してくれて……感謝してもしきれません」


手にもった桔梗の花のブーケをギュッと握りしめて彼の目を見て云う。彼の櫨色の瞳は私を離すことなくはっとするように見開いている。


「……うん、私も初めて、二十四年前のこの日、この世に生まれて来て善かったと思えたよ」


早くそのベールをとってキスしたいよ。と云って彼は組み合っていた腕を離し、先に会場に向かっていく。部屋に入る前、治さんは振り返り、微笑みを私に向けた。


「おめでとうと…云って呉れないかい?」

「…誕生日、おめでとうございます。治さん」

「有難う」


先に待ってると残して扉を開き彼は会場に入って行った。その後ろ姿は何処か嬉しそうで私もとても嬉しい気持ちになった。



 私達の結婚の日は梅雨の合間の五月晴れのはれやかな六月十九日に行われた。その日は、私の大切で最愛の彼が生まれ、生きていて初めて生まれて来た事を善かったと思った日。未来に希望を持って二人の未来を誓った日。私と彼の大切な日。





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