みどりの。

壱聲(ヒトコエ)
@NhSVm2xmUIh9sNH

みどりのめ。





いつもの、いちにちだった。







おそ松「なぁー!いーだろ、少し位。」

チョロ松「駄目だよ、旅行なんて、そんな金どっから出てくるんだよ。」

おそ松「そりゃァ、母さんからに決まってんじゃん。」

チョロ松「屑だろ、お前...」

おそ松「へへぇーそれ程でもぉ。」

チョロ松「褒めてないよ。」


こんな、こんな何気ないチョロ松との会話が本当に好きだった。アイツの笑顔を見る度に見とれてしまって、チョロ松が何処と無く恥ずかしそうにして俺の頬を抓ってくる。そんな毎日が、本当に好きだった。


チョロ松「ねぇ、兄さん。」

おそ松「んー?」

チョロ松「なんか変な匂いしない?」

おそ松「えー?するかなぁ?」

チョロ松「うーん、気のせいかなぁ。」

おそ松「気のせいでしょ。」

チョロ松「僕ちょっと見に行ってくるね。」

おそ松「そぉ?行ってらっしゃい。」


チョロ松が横を通って、凄くいい匂いがした。その匂いが、とてもとても落ち着くもんだから、チョロ松が戻ってくる前に俺は寝てしまった。






ここでおれが、ねなければ。








カラ松「おそ松、おそ松!」


おそ松「んぁ、なんだよ。」

久々に格好つけて無い次男の声で目覚めた。やけに焦ったような声だったけれど、どうせカラ松のことだ。下らないことに決まっている。俺は目を擦りながら、ぼけっと話を聞くことにした。



カラ松「チョロ松が...」




カラ松「チョロ松が、攫われたっ!!」

おそ松「は?」


突然妙な事を言い出すから、呆れた。自分が誘拐された事があるからって、冗談やからかいにも程がある。

おそ松「冗談だろ、どーせ。俺は眠いんだよ。」

カラ松「本当だ、攫われてしまったんだ。俺が帰ってきて、電話がなって...チョロ松を攫ったって男が。」

おそ松「嘘だろ?だって、さっきまで一緒に居たんだぞ?」

カラ松「嘘じゃない!一緒に居たなら何故助けなかったんだ!!」

おそ松「は?!俺のせいにされても困るんだけど?!」

カラ松「でも、そこに居たんだろう…」


カラ松はものすごく、ものすごく悲しそうな顔をした。これじゃぁ、今まで黙って寝ていた俺が悪いみたいじゃないか。俺は何もしていない。むしろ、出来るはずが無い。そんなよく分からない罪悪感に苛まれている時に、また、電話が鳴った。

カラ松が急いでそれを取りに行く。


何だか、凄く凄く悪い方向に、話は早々と進んでいた。


カラ松「はっ?!女神?天界?!何言ってるんだ?」


カラ松がとうとうおかしくなったか、変なことを電話越しに言い出した。

これでは、拉致が開かないと思い、カラ松と電話に変わろうとした。

おそ松「カラ松、俺が変わるから、少し落ち着け。」

カラ松「兄貴...チョロ松が...っ」


おそ松「あ〜はいはい。変わりましたー松野家長男おそ松でーす。うちの三男に何かしたってねぇ。」

『あぁ、やっと出てくださったんですね、おそ松様。』

おそ松「おそ松様? 気持ち悪い呼び方するね。」

『そんなことはどうでも良いんですが。チョロ松様の件でお話があります。』

おそ松「何。」

『まず、うちの三男。と言うのを訂正して貰いたいですね。チョロ松様は松野家の三男ではなく、天界の女神です。手違いで人間界へ行かれてしまって、こちらも大騒動でした。やっとチョロ松様を見つけられたので、天界へ帰って頂こうと思ったのですが、やはりそちらにもご報告をして置かなければいけないかと思いまして、お電話致しました。』

おそ松「は?待って、話についていけないんだけど、あんた誰。」

『あぁ、これは失礼致しました。天界でチョロ松様の側近をさせて頂いて居りました。熾天使です。』

おそ松「天使?何言ってんの、厨二病?」

『いえ、そんな厭らしいものでは御座いません。天使は嘘は付けないので、本当です。』

おそ松「あー、なんか天使やら女神やら天界やら、よく分かんないけど、チョロ松返してくんね?」

『それは天界の判断ですし、それにチョロ松様はあなた達の家族ではなく天界の神です。間違わないで頂くことをお勧めします。もうチョロ松様は天界へいらっしゃっているので、そちらに帰ることは出来ないかと思います。身体の方は天界では不要なので、そちらに置いてきましたよ。』

おそ松「は?何処に?」

『私は直接言ったわけでは無いので、良くは知りませんが、そちらの家の何処かにいらっしゃるのでは無いでしょうか?まぁ、ここまで説明致しましたので、失礼させて頂きます。』

おそ松「はっ?!ちょっと待てよ、どう言う事だよ!チョロ松返せ!」

『では。』


電話が、プーップーッ、と音を鳴らしていた。

切れた。


俺は暫く立っていることしか出来なかった。何が起きた?チョロ松が、神?意味が分からなかった。チョロ松は人間だ。生まれた時から、俺の兄弟だった。

カラ松も、呆然としていた。俺達は静かな玄関で、ただ黙る事しか出来ないでいた。