暁に舞う

episode 2

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サイキはひとりイスに座りパンを片手に本を読んでいた。

ここは学校の特別棟裏にある休憩場所だ。

本校舎から離れている為誰も来ないのをいいことにサイキ専用となっている。

大抵はひとりでのんびりしているのだが、最近は来客がある。

「おっす。」

「こんにちは。」

サイキは本から目を離し声のする方へ顔を向けるとノクティスとプロンプトが立っていた。サイキは少し微笑んでふたりをイスに促した。

「相変わらず同じもん食ってんのな。飽きねえの?」

ノクティスがサイキの昼食を見て聞いてくる。ちょっとノクトとプロンプトがびっくりしていると、サイキは特に気にした様子もなく言葉を返す。

「別に。食べれれば何でもいいし。」

「それにしてもさ。」

ノクティスはイスに座りながら話を続ける。

「何?ノクティス王子が何か美味しいものでも食べさせてくれるんですかぁ?」

ニヤニヤて笑いながらサイキが言うと、待ってましたとばかりにノクティスは笑った。

「ほら。」

そう言って、テーブルの上に風呂敷に包まれた大きな箱を置いた。何だ?とサイキが首をかしげる。ノクティスは風呂敷を解き中の箱をサイキに見せた。それは三段に重なった重箱だった。ノクティスはカタカタと重箱を広げていく。

「ふぁあ……凄い!!」

プロンプトが感嘆の声をあげた。

「へぇ……本当に凄いね。王子が作ったの?」

サイキも感心したように重箱を覗き込んでいる。

「ンなわけねぇだろ。イグニスだよ。」

「えっ、あのインテリメガネさんは料理男子なの?」

「シャツのボタンも付けられるぜ。」

「ほう。裁縫男子でもあると。」

「掃除も出来る。」

フフンとノクティスは得意気に続ける。

「なんでノクトが得意気なの?」

プロンプトが突っ込むが無視された。

「なんと!掃除男子までも!!って、それお母さんじゃん。」

「そうなんですよ。イグニスはノクトのお母さんなんです。」

「女子力高いね。」

「ですよね。」

ねぇとサイキとプロンプトは笑った。

「お前らウザい。良いからほら。」

ノクティスはふたりに箸を渡す。

「「いただきます。」」

サイキとプロンプトは手を合わせてから重箱に手を伸ばした。

「うまっ!! 」

サイキは唐揚げを口に含みそう叫んだ。

「んん!これも美味しい! 」

プロンプトは玉子焼きを頬張りながら満面の笑みだ。

「あの人凄いね。」

サイキはおにぎりを手に取りながらノクティスに話す。

「だろ。あいつ何でも出来んだよな。 」

「イグニスお菓子も作るんですよ。 」

「あれ?メガネさんは女子だったっけ。」

「ちげぇよ。」

三人はイグニスの話で盛り上がりながら重箱の中身を減らしていく。キャッキャッとプロンプトと話しているサイキをノクティスはしばらく見つめていた。

「なぁ、サイキ…… 」

ふとノクティスがサイキの名前を呼ぶ。

「ん?」

サイキは缶コーヒーを飲みながらノクティスを見た。

「あぁ…… その…… 」

「なに。」

「いや……その…… あぁ……あのさ、グラディオと仲直りしてくんねぇ……。」

ノクティスが言いづらそうにサイキを見る。

「グラディオ?」

誰だっけとサイキはしばらく考える。ままあってあぁと声をあげた。

「王の盾さんか。」

「そう。仲直りして欲しいんだけど。」

「仲直りつっても、別に喧嘩とかした覚えないけど。」

サイキはしれっと言う。

「いやいや、あれはどうみても喧嘩だろ。」

あれとはシフト指導の初日の出来事のことを言ってるのだろう。サイキからしたらあくまでも手合わせで、喧嘩の部類に入る出来事ではなかったが、傍から見たらやはりそう取られても仕方ない光景だったらしい。

『まぁ、やりすぎた感はあるけど。』

サイキは心の中でごちる。

あれから何度かノクティスに稽古を付けたが、イグニスは付き添っていてもグラディオラスは一度も顔を見せていない。

『そりゃそうだよね。』

あまり良い印象を持っていない相手に殴られ蹴られ、地面に倒されたらなとサイキは思う。

「わりぃのはどうみてもグラディオだけど、サイキも挑発に乗ったろ。」

「んん、まぁ…… 」

「だったら、なっ頼む。」

ノクティスが顔の前で両手を合わせた。

「なんでそんなに必死なの。別に私が王の盾さんとどうこうしたからって王子には関係ないじゃん。」

確かにそうである。サイキはノクティスが必死になる理由が分からなかった。

「……グラディオの機嫌が悪い……」

「はっ?」

「あれからグラディオの機嫌がめちゃくちゃ悪いんだよ。それに、友達同士が仲悪ぃの嫌だろ。」

「あれっ、私って友達認定?」

「茶化すなよ。」

ノクティスはサイキを睨む。

「ごめん。」

サイキは謝り、続きをどうぞと手を出し話を促した。

「イグニスも気にしてるし、何より機嫌が悪いから剣の稽古が厳しいし。」

「あぁ、それが本音な。」

ばつが悪そうにノクティスは頭をかいた。「なぁ……頼むよ。」

「頼むって言われてもなぁ…… 」

サイキは苦笑いを浮かべる。挑発に乗ってしまったサイキも悪いが、元はと言えばグラディオラスから挑発してきたわけで、サイキがどうこうしようがないのだ。

『私から謝るのもねぇ…… 』

サイキがそんな事を考えていた時、テーブルに置いてあったサイキの携帯が鳴った。なんだと画面を確認したサイキの顔が少し険しくなる。

「はい、サイキです。……はい……はい……大丈夫です……はい……すぐ行きます……はい。」

携帯を切るとサイキは残ったコーヒーを飲み干した。

「どうしたんですか? 」

プロンプトが質問すると、サイキは困ったような顔をするだけだった。

「なんかあったのか。」

少し不安そうにノクティスもサイキの顔を見つめた。

「ん、まぁ……ちょっとね。ごめん、私もう行くね。インテリメガネさんにごちそうさまって言っといて。」

そうは言ってサイキは立ち上がり、本校舎に向かい歩き出す。

サイキの後ろ姿を眺めながらノクティスが声をかける。

「サイキ!さっきの話!!」

サイキは振り返ることはなかったが、分かったと言わんばかりに手をヒラヒラと振っていた。




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