水月佳人 -緋色恋枷-

第三話 色づき出す夢

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「あのくそじじいも少しは困ればいいんだ。ざまーみろ」


梅干し壷を抱えて逃げ回る某老人をヤサグレ表情で嘲る彼は某兄公子との血の繋がりを感じる。まだ20にも満たない若輩者であるが双花は彼に名君の欠片を見いだしていた――途方もなく馬鹿であることは実に嘆かわしい。


「なんか、禁断症状が出てきたって感じだね」


「まったく、たかが女一人に会えないからってなんだ!情けない」


「いいのかい?そんなこと言って、君だって、いつ、そういう女性ができるかわからないだろ」


「俺が?あり得ん!」


「ふーん」


断言する彼は流石、‘女性嫌い’を主張するだけのことはある。女性と共に時間を過ごすことの多い楸瑛からしてみたら勿体無いことこの上ない。


「……でも、主上も同じ城内に特効薬がうろうろしていることを知らないでふてくされているんだから、可哀想というか哀れというか面白いというか」


そう語るこの男の表情から感情構成比率は一割、一割、八割ということが窺え、確実に面白がっているといえた。


「言うなよ。ややこしいことになるのは秀麗も望んではいない」


「はいはい、わかってるよ。まったく、秀麗殿に対する君を見ていると君が女嫌いってことを忘れそうになるね」


「女として見てないからな。弟子みたいなものだ」


「弟子ねぇ……そういえば君、最近吏部には行ったかい?」


意味あり気な視線を向けていた色男は何かを思い出したように話題を転換する。絳攸は相手をするのが面倒だと言わんばかりの視線で彼を見ると‘否’と答えた。



「おや?なら、最近吏部尚書に侍僮が付いたのも聞いてないのかい?」


「はぁ?あの人に侍僮?四半刻と保たんだろうな」


「それがもう既に数日保って、しかも、あの吏部尚書に仕事までさせてるって噂だよ」


絳攸の手から巻物が落ちる。その顔は有り得ないと訴えているが彼の落とした巻物を拾い上げた楸瑛の表情からただの噂だけだとは思っていないことが窺える。



「少し出てくる」


「私も行くよ」


「お前が来る必要はないだろ」


「君一人で行かせたら帰ってこられないだろ?」


「大きなお世話だっ!!」



鉄壁の理性と呼ばれる彼の怒号が執政室に響き渡った。









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