~踏み出す勇気を私にください~

ましろ@あんスタに浮気気味w
@shiro_manjuu

☆プロローグ 忘れられない夏がある

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輝く世界がそこにはあった。


キラキラ…キラキラ…


どこまでも眩しく、どこまでも尊い世界が、そこにはあった。



────ああ、そうか…

────これだったんだ…

────私が本当に望んでいたものは、これだったんだ…



正確に言うなら、こんな世界に立つ彼らの姿を望んでいた。

今見ている人たちと同じように、絶えることのない笑顔で仲間と励まし合い、賞賛を送り合う、そんな彼らを私は求めてた。



どうしてあんな風になったんだろう?

どうして、みんなバラバラになってしまったんだろう?



一人、また一人と離れていくその様をずっと見ていたのに。

それでも見ている以外に何もできなかった自分。



『みんな…一緒だよね? ずっと、一緒だよね…?』



不安で不安で仕方なくて。

縋るように吐き出した心からの思いをカタチにした言葉は震えていた。

実際に、本当に震えていたんだと思う。

声だけじゃなく、彼のシャツの袖を掴んでいたその手までもが。



『……はい。ずっと…一緒です』



傍目には弱々しく見える微かな笑みとともに返った返事は、その時の私に対する精一杯の気遣いに溢れてて。

気休めだと分かっていても、私の思いを否定しないでいてくれた彼の言葉にホッとして泣きそうになった。


だから信じる気持ちを止めることはしなかった。

その願いが届くことを信じて。

信じて、信じ続けて。

今、自分にできることを…と、みんなのサポートに徹した。

徹し、続けた……のに。


それなのに。


現状は何も変わらない。

変わらないどころかどんどんと悪化していく一方だった。


離れてく。

心も。

チームとしての、その距離も。


願えば願うだけ。

その願う気持ちが強ければ強いほど、思いは通じることなく逆に遠ざかっていった。

どこまでも遠く離れていくだけだった。



『みんな、一緒に…』

『いつまでも。ずっと、このままで…』



そう強く望んでいた彼の思いに寄りかかるように、私も同じ願いを込めて彼を頼り、そして縋った。

文字通り、重圧になっていたんだと思う。


決して振り払われることのなかった私の思いと。

変わらないどころか悪化していく現実。

その両方に挟まれて、彼が苦しまないはずなんてなかったのに。

弱くて愚かな私は、ただただ縋ることしかできなくて。

それが彼にとってどれだけの負担になっていたのかなんて、考える余裕もなかった。


今だからこそ分かる。

私がどれほどのものを彼に押し付けてしまっていたのか。


でも…今更だ。

悔やんでも悔やみきれない思いだけが残った。


取り返しのつかないことをしてしまったと気付くのが遅すぎた。

気付いた時にはもうチームはバラバラで。

そこに信頼というものはどこにも残っていなかったのだから。


最後の最後までみんなを信じ続けていた彼の心も、壊れる寸前まで追い詰められてしまった後だった。



『…ねえ、テツ君。前に私が言ったこと…覚えてる?』

『…すみません。ちょっと、覚えてないです』

『!』



普段から動かない表情のまま静かに返された言葉に、何も言えなくなってしまった。



『本当にすみません。何だったでしょう?』

『えっ? あ…ううん、いいの別に! 大したことじゃないから! ゴメンね?』



大したことじゃないなんて、嘘。



本当はショックだった。

彼がそんなことを言うなんて…って。

だけどその時は、それを必死に堪えて平気なフリして無理やりに笑った。


どうしてだか分からないけど、それ以上言ってはいけない気がして。

困ったような顔で謝る彼にそれを言ったら、もっともっと追い詰めてしまう気がして。

壊れちゃうんじゃないか…って、そんな風にも思えて。

だから。

それ以上、何も言えなかった。


『大したことじゃない』なんて嘘をついて。

笑って誤魔化して。

そうやって強がるだけでいっぱいいっぱいだった、私も。


だけど、それでも信じていたかった。

彼の言葉が嘘であると思いたかった。

覚えてないなんて、そんなの嘘だって。

彼があの時の言葉を忘れるはずがないって。


でも…それさえも言えなくて。

『信じてる』とも言えなくて。

伝えたいはずのそのたった一言が、凶器となって彼を壊してしまいそうで。


結局、それ以外にかけられる言葉を何一つ見つけられず。

分かれ道を理由に、私は、逃げた。


この話題からも。

そして、辛そうな顔をした、彼からも…



『ゴメン…。ゴメンね、テツ君…』



ただ謝罪の言葉だけが溢れた。

一度口にしたそれは、留まることを知らずに繰り返される。



『ゴメン』

『ゴメンね』

『ゴメンなさい』



ただただ『ゴメンね』の言葉だけが頭の中を巡った。

謝る以外、何も考えられない。

何をどうしていいのかさえも分からなくなって。

『ゴメンね』の言葉を繰り返して泣くこと以外、何もできなかった……─────




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